32 Ugh! ページ33
『あ、あの……副社長は本当にそれでいいん、ですか？』
「は？」
『ほ、ほら……本業でも私の顔見て副業でも私の顔を見なければいけないじゃない、ですか？』
「え、何？Aは嫌なの？」
嫌です、出来れば見たくない。
『え、えぇ！？いやぁ、そんなんじゃないですよ？ただ、副社長はそれで良いのかなーって？』
「……俺は、Aがいいから言ってんだけど」
『そ、そうですか……とても光栄です』
「の、割にはそんな顔に見えないけどね？」
全然光栄じゃないよ。どうして会社でもコキ使われて副業でもあなたの顔を見なきゃいけないんだ。
全然気が休まないじゃないか。
『あ、いえ……私でお役に立てるなら是非とも頑張らせて頂きます、はい。』
「そ？じゃ、よろしくね？そっちの事務所からはこっちから連絡しておくよ」
『…………かしこまりました』
あぁ、終わった。私の平々凡々な人生はこれにて終了ってか？
漏れそうな溜め息を吸い込み、コピー用紙を持ち上げて失礼しました、とヒクヒクと引き攣っている口角を上げながら扉から出ようとした
「あ、A」
あぁ……またかよ、てめぇ何回呼ぶんだよ
『………はい』
「明日、クロワッサンサンドよろしくね？」
『………………かしこまりました』
副社長じゃ無ければ間違いなくぶっ飛ばしている。こいつどんだけ常識範囲外の事を頼み続けるんだよ。
さっき我慢したはずの溜め息は結局漏れてしまい私の目は虚のようになったままコピーを全て終わらせて各部署に配り荷物を持って家路へと向かった。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月1日 1時
