3 Ugh! ページ4
姑のように小言を言い続けるスングァン君に手を振って事務所から出てアプリに住所を入れて目的地へと向かった。
場所はそんなに遠くなくて前からすっげぇーなぁ、なんて見上げていた高層マンションが目的地だった。
いやぁ、よく見上げていたよ、君の事は。
オートロック完備のエントランスへ入り部屋番号を押しそのまま待機していると、声が聞こえた
「はい」
『こんにちは、本日担当させて頂くハウスキー』
ウィーン
『………入りますねー』
まだ話していた最中なのにエントランスの扉が開いてしまった。聞いているか聞いていないか分からないがとりあえず声をかけて中へと歩みを進めていった。
どんだけ上がるんだよ、なんて思う程上がっていくエレベーターから降りて目的の家のチャイムを押した。
ガチャッと開いた扉から姿を現したのは
28歳にしては童顔で、優しい口調でうちの会社の社員と話し、イケメンで非の打ち所がない。
なのに、羨望と嫉妬からあまり好かれていない青年。もというちの職場の副社長だった。
ヒッ、と声が出た。何故ここにいるんだ。副社長はうちの事務所からハウスキーパーを雇っていたのか?
あぁ、そんな事考える前に挨拶しなければ、
そう思い頭を下げた
『初めまして、本日担当させて頂くハウスキーパーの………者です。宜しくお願い致します』
本来、帽子を取りながらフルネームを伝えなければいけないがそうすれば間違いなくクビだ。
名前は伝えずクセで帽子のツバを持ってしまった私は帽子を取らずに静かに手を下ろした
「……どうぞ」
『失礼致します』
扉の端を持ったのを確認するとそのまま背中を向けて中へと入っていった雇い主、もとい副社長の背中を見つめながら靴を脱ぎ背中を追いかけた。
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作者名:ノルン | 作成日時:2023年12月1日 1時