2 Ugh! ページ3
仕事が終わり、一旦家へと戻りラフな格好に着替えてから副業のハウスキーパーの事務所へと向かった。
事務所の扉を開けると私に視線を向け明るい笑顔で駆け寄ってきた職歴だけ上の後輩くん。
「おはようございます！Aさん！」
『おはよう、スングァン君』
「今日、どこへ向かうか全員決まりましたよ！」
『え？そうなの？私、どこ？』
私がそう聞くと少し哀れな表情を浮かべながら私の肩に手を置いた。
「可哀想に……"無愛想王子"ですよ」
『"無愛想王子"？誰それ？』
「えっ！？知らないんですか！？」
驚いた声を上げたスングァン君はまたボソッと可哀想に、と呟くとその"無愛想王子"とやらの説明をしてくれた。
「イケメンで金持ちなのに、性格が無愛想なんですって！目も合わせてくれないし間違えた場所を掃除しちゃったら舌打ちしながら睨み付けてくるらしいですよっ！あ〜怖っ、」
『今からそんな奴の所に行け、と？』
「ま、仕事ですからね〜？」
そんな事言って私に可哀想なんて言ってるけどあなたも中々可哀想だけどね？
『スングァン君は今日も"マリー・アントワネット"でしょ？』
「あー、もう辞めて、言わないで」
『可哀想だねぇ？世間知らずのお嬢様相手は！気に入られてるらしいじゃん？』
「あー、もう辞めて、聞きたくない」
『何だっけ？"ご飯が食べられない？勝手に出てこないの？"だっけ？』
「世間知らずすぎて毎回、大変なんですから、っとに。」
そう言いながら清掃服に着替えるスングァン君の隣で私も清掃服へと着替え始めた。
「ちょっ！どこでジーンズ脱ごうとしてるんですか！あっちにカーテンあるでしょ！！」
『え？』
「え？じゃないよ！何回言わせるんですか！」
『別に減りゃしないよ』
「減るよ！頼むから減らしてくれよ！あぁー！！脱ぐな！！」
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月1日 1時
