19 Ugh! ページ20
総務部へ向かい意見を聞いてみたが結局何にも情報は得られなかった。
私が副社長の秘書になった、そんな事は伝えていないが副社長が昨日聞いた事を私も聞いていくと苦笑しながら何も無い、と言う人や少し面倒くさそうに首を振る人が多かった印象だ。
そして、挙げ句の果てには昔、私に会社の愚痴を言っていた同僚からはお願いだから副社長には何も伝えないで欲しい。そんな事を言われた。
何の愚痴だったかこれっぽっちも覚えちゃいないが。
ある事に気付いた私は、ファイルを手に取り約2時間かけて行った面談の部屋から去り副社長室へと戻って行った。
「あぁ、おかえり、どうだった？」
『収穫はほぼ0です。』
「あー、そうか。お前でも、無理か、」
そう言いながら溜め息を吐いた副社長に口を開いた。
『ただ、社員の方達と話して気付いた事があるんです』
「何を？」
『表情ですよ』
私が副社長へと視線を向けて話すと、表情？なんて言いながら不思議そうな顔をしていた。
『全員が別に無い。と仰ってましたが表情は様々でした。
苦笑する者、面倒臭そうにする者、少し悪い顔をしながら言う者、真剣そうに言う者、目線を合わせずに言う物、笑いながら言う者。
どういう事か分かりますか？』
「………え？あ、いや、ちょっと俺には分からない、かな」
『全員が全員、本当に副社長に意地悪しようとしているなら表情ってある程度、統一されてきません？』
「………俺の場合は笑顔が多かったけど、」
『それは相手が副社長だから、では無いですか？』
そう言うと机に肘を置き何だか考えているような素振りを見せるがまだ、ピンとは来ていないようだ。
そりゃそうだよね。副社長は笑顔しか見ていないんだし。
『あくまでも、私の見解にしか過ぎないのですが………』
「………」
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月1日 1時
