15 Ugh! ページ16
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勘弁してくれ、誰だこんな朝早くから電話なんてかける不届者は。名前を確認するとジョンハンという文字。
常識範囲外の時間だと思うのは私だけじゃないはずだ。
『…………もしもし』
「おはよう、俺」
『…………おはようございます』
「出勤9時だよね?」
『…………はい』
9時まで後3時間程ございますが。
「今日来る時買ってきて欲しいものあるんだけど頼んでいい?」
『………何でしょう』
お前が行けよ、なんて言えず一応何かと聞くと副社長は耳を疑うような言葉を発した。
「大型ショッピングモール分かるよね?屋上にテラスがあって望遠鏡がある所」
『あぁ、はい、ありますね』
「そこの近くのパン屋さんでパン買ってきてくれない?」
『………………は?』
意味が分からない。いや、意味は分かるが遠すぎやしないか?会社と反対方向だし家からそのショッピングモールまで30分、そしてそこから会社まで1時間半かかるんだが。
「そこのクロワッサンサンド買ってきて」
いや、チョイス可愛いな。
『いやぁ、ちょっと厳しいですね』
「秘書なんだからそれ位頑張って?給料上がってんだからさ」
『…………いや、あの、』
「ていうかあんま話してる時間無いと思うよ?」
『え?』
「クロワッサンサンド、人気だし7時には売り切れるから」
『…………え、は?』
「よろしくね」
そう言って通話が切れた携帯を見つめてしまった。
7時には売り切れる?今、6時5分だよね?え?
人間というのは不思議なもので、
え?何で私が行かなきゃ行けないの?そんな事を考えている間にはスーツを着て
7時に売り切れるものを6時に買いに行かせるってどういうつもり?そんな事を考えている間には眉のみ描いてマスクをして外に出ていて
今日くらいクロワッサンサンド我慢して違うパンでも良いよね?そんな事を考えている間には電車に乗っていた。
ショッピングモール付近へ行くと軽く人だかりが出来ているパン屋さんを見つけ私は死に物狂いになりながらクロワッサンサンドをゲットした。
『……………』
パン屋さんへ出る頃には本日分の体力は使い果たしていたが今日も仕事だ。
6時50分、と表示された時間を見てそのまま会社へ向かう事にした。眉毛のみ描いたほぼすっぴんの状態で。
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作者名:ノルン | 作成日時:2023年12月1日 1時