1 Ugh! ページ2
遡る事、約6時間前。
昼休憩が終わった頃合いに総務部で副社長から一人ずつ面談を行うという通達が入った。
きっと、社長の息子であり次期社長のジョンハンさんは自分が社長になるから会社の事を知っておかなきゃいけないんだろう。
次期社長も大変だな。そんな他人事のように思っていると面談はどんどん進んでいき、とうとう私の番になり副社長が待っている部屋へと移動した。
扉をノックし、失礼しますと声をかけ扉を開くと爽やかな青年が一人。次期社長にしては若すぎる。そう思うのは私だけでは無いはずだ。
「どうぞ、お掛けになってください」
『失礼致します』
そう自分の前へ手を差し伸べられ席へ着くと、副社長が口を開いた。
「今、うちの会社で働いていて困ってる事や、こうして欲しい、などの意見はありますか？」
まぁ、強いていうなら副業OKにしろ、それくらいだ。
だが、そんな事を言うと、どうして？やら副業したい理由は？とか色々聞かれるだろう。それも面倒くさい。
ありません、そう伝えると少し驚いてこちらを見つめた。
「……あの、何でもいいんですよ？」
『ありません』
「……社食で肉類を増やして欲し」
『ありません』
「……自販機の飲み物の種類を」
『ありません』
そう言うと少し眉を下げて、そうですか、と小さく呟き頷いた。
副社長はペンを机の上に置き私へともう一度声をかけた
「……あの、私はまだ若いですしまだまだ頼りないかも知れませんが困った事があれば何でも仰って下さい。
よりよい会社になれるよう努めて参りますので。」
『………ありがとうございます』
そうお礼を言うと副社長は微笑んで頷いた。チラッと手元の紙を見ると紙は少し文字が書かれた後は白紙だった。
…………未だに誰からも信頼されないのも悲しいだろうな。
まぁ社長の息子に産まれて？次期社長が決まって社長の引き継ぎをしていて？これだけ顔が良くて身長も高いなら仕方ないだろうな。
羨望と嫉妬は紙一重ってやつだ。
『それでは、失礼致します』
そう副社長に頭を下げて部屋から出ていった
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月1日 1時
