ダリアのバウムクーヘン

7 betray ページ8

　
　
　
　
　
　
　
　
「……！？！？んぁ！？…は！？……なん、」


「え……」


『あ、起きた』



案の定飛び起きたスニョンは耳付近を手で抑え私が犯人だと理解すると眉間に皺を寄せ勢いよく立ち上がり私に怒鳴った



「おまっ……！これで起こすなって昔から言ってんだろ！！」


『起きないのが悪いんじゃん』


「……………」


「心臓に悪いんだよっ！！毎回、心臓が止まりそうになる俺の気持ちも分かれよ！！」


『起きないのが悪いんじゃんってば』


「はぁぁ〜」


頭が項垂れたスニョンにスンチョルさんは声をかけた


「スニョン」


「あ、はい」


「もう、帰るから着替えておいで？閉め作業は全部Aがやってくれたからさ」


「………え？そうなの？ごめん」


『ううん』


「まぁ、とりあえず……着替えてくる」




そう言ってスニョンはヨタヨタと歩きながらバックヤードへ消えていった



「すごいね？本当に起きたじゃん」


『え？あー……昔からあぁやって起こしてて』



スンチョルさんにはあんまりこういうの見られたくなかったなぁ、変に勘付かれても嫌だし。


そんな事を思ってると私の前へとスンチョルさんは回り込んできた



「大学時代の友人、にしては色々知ってんね？」


『あぁ……えっと……仲、良かったんで』


「"すごく"仲良かった、の間違いでしょ？」


『え、』



すごく、の部分を強調したスンチョルさんにバレたのか？なんて思いながら視線を上げると目が合った。



その瞬間彼の手が動き出した



「Aも弱いの？」


『……へ？』


「ここ」


『………あ、私は、』



スンチョルさんはそう言いながら私が撫でた耳の裏側を親指で優しくなぞった。

触れられると思って無い場所を急に触れられると体は自然とピクリと動いてしまうらしい。スニョンの気持ちが少し分かった



「……弱くないの？」


『私は、特に……」


「……ふぅん」



そう言いながら何度か耳裏を往復した後スンチョルさんは少し笑った



「なんだ、つまんないの」


『え？』



そう言うと手を動かし今度は耳全体を親指で一撫でした


『……！？ちょっ……』


「ははっ！じゃ、俺も着替えてくるよ、スニョンぶっ倒れてないか心配だし」






そう言って意地悪そうに笑った後、そのままバックヤードへと消えていってしまった。



『……確かに心臓に悪いね』







そのまま少し力が抜けて腰が抜けたように椅子に座り込んだ
　
　
　
　

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