ダリアのバウムクーヘン

27 betray ページ28

　
　
　
　
　
　
　
『や、辞めてよ……』


「なぁ、何でヒョンなの？」


『ねぇ………』


「相手がヒョンじゃなきゃ無理矢理奪えるのに」


『辞めてってば………』


「俺、ずっとAが好きだったんだよ？忘れた事なんかなかったのに、Aは違うの？」


『ねぇ、スニョン……』


「俺はまだ、こんなにも……」


『……………』










　
　
　
　
"Aの事を愛してるのに"








　
　
　
　
そう耳元で囁かれた瞬間に何かが壊れた気がした。




スニョンに腕を引かれて振り向かされると顔を持ち上げて唇を奪われてしまった。噛みつかれた、そんな表現があっていたのかもしれない



重なった唇からは4年分の思いを絶え間なく注ぎ込まれているような気持ちになってしまい涙が溢れたのが分かった。



それでも何度も角度を変え唇を通して注がれる愛に折れそうになった時に頭によぎったのはスンチョルさんだった








私は彼の耳裏へと手を伸ばした






「……っっ！、は、……はぁ」


『……は、……はぁ……』



驚いて離れたスニョンは耳を押さえ込んだまま動かなくなり私はその場へとへたり込んでしまった



『………スニョン、お願い』


「……………」


『…………もう、帰って』


「………っ、ごめん」




そう言って一度部屋の中へ戻り荷物や鍵を取るとスニョンは足早に家から出て行った。






『…………っ、っ』



縋るような気持ちだった。



部屋へと戻り携帯を手に取り少し操作をして耳に押し当てた













「もしもし？」


『………うっ、』


「……え？A？どうした？」


『……スンチョルさ、』


「……………」


『会、いたい』











あなたに、会いたい
　


　
　
　
　
　

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