ダリアのバウムクーヘン

20 betray ページ21

　
　
　
　
　
　
　
今日は閉店時間にお客さんが引いて行き締め作業始めるかー、なんて声を上げたスンチョルさんは続けてまた声を上げた



「あ、スニョンはもう帰っていいよ」


「え？でもまだ何も片付いてないよ？」


「大丈夫だよ、Aにやって貰うし。な？」


『え？あぁ、はい。私は全然……』


「あと、Aにも少し話があるんだよ、だから先上がって？」


「…………分かった、じゃあ着替えて帰るね」



そう言ってスニョンは踵を返しそのままバックヤードへと消えていった



『私に話ですか？何です？』


「ん？あぁ、閉め作業が全部終わったら話すよ」


『？分かりました！』



そう笑顔で返事してトイレ掃除しなきゃなぁ、なんて思いながらバックヤード横のトイレに入ろうとした瞬間にバックヤードの扉が開いてしまった



「…………あ」


『あぁ……お疲れ』



そう言って微笑みながら声をかけてトイレへ入ろうとすると、待って、と声が聞こえた



『ん？』


「あの……昨日はごめん」


『え？』


「頭こんがらがせるような事言って。」


『あぁ……ううん、大丈夫だよ。私も何かごめん』


「…………あのさ」


『………ん？』




そこまで言うと口をつぐんでしまったスニョン。彼の顔を見ると目が泳ぎ少し唇が震えていた





『………スニョン？』


「……俺、応援してるから。」


『え、』


「………だから次こそ幸せになれよ」






そう言って顔を上げたスニョンはいつものような顔で私に笑いかけ肩をパンッと叩くとそのまま帰っていってしまった。



『………………』



そうだね。私達はもう終わったんだもん。私はスンチョルさんが好きなんだもん。ありがとう、ごめんねスニョン。




私、次こそ必ず幸せになるよ。
　
　
　
　

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