ダリアのバウムクーヘン

19 betray ページ20

　
　
　
　
　
　
　
　
「なぁ、Aどうした？上の空だぞ」


『え？』



そうスンチョルさんに声をかけられ顔を上げた







結局、スニョンから昨日、数々の爆弾発言をされた私はゆっくり眠る事なんか出来ずに何も考えれず一日を過ごした。



もう出勤の時間だ、なんて気付いた時にはまた遅刻寸前の時間になってしまった。




少し慌てて店の扉を開くとスンチョルさんとスニョンがいてスンチョルさんは私の姿を見て笑っていたけどスニョンは一ミリも笑っていなかった。



服を着替えオープン準備中にスンチョルさんに上の空だぞ、なんて声をかけられた。





なりたくなくてもなってしまう。






あんなにもスンチョルさんで頭がいっぱいだったのに昨日の言葉を聞いて何とも言えない私は一体自分がどう、何を思っているんだろうか。




自分の事なのに自分が分からない。スンチョルさんが好きなんだよね？そうだよ、好きなんだよ。何を考える必要があるんだ。



『ちょっと頭がボーッとしてました…寝不足になってしまって……』


「んー、大丈夫か？体調悪かったら帰っていいぞ？」



そう言いながら私の顔を覗き込んだスンチョルさん。こんなにも人を思いやれる、知識も豊富で、でも少し意地悪で、悪戯っ子のようなスンチョルさんが私は大好きなんだ。



『明日、お店休みじゃないですか！明日ゆっくりするんで大丈夫ですよ！』


「………そか」


そう言って頷いたスンチョルさんにありがとうございます、とお礼を言うと扉が開いた。




時計を見ると時間は19時になっていて目を疑ってしまった。ここに着いた時は17時だったのにもう19時？




私2時間くらいボーッとしてたの？




こんなんじゃいけない。しっかり仕事しなきゃ！そう思い自分の頬を叩くとお客さんの方へと近づいて行った。


　
　
　
　
　
　

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