ダリアのバウムクーヘン

プロローグ ページ1

　
　
　
　
　
　
　
"言いにくいんだけどさ、スニョン君浮気してるよ"


"は？"


"私、見ちゃったの。写真も撮った"





そう言われて差し出された携帯を見ると当時付き合っていたスニョンが女の子を家に招き入れてる写真だった




"あの、それでスニョン君から伝言があって……"


"伝言？"


"別れて欲しい、って………"


"は、"


"もう声もかけないで欲しいって伝えててって……"




そう言われて目の前が暗くなった。




あれ？この間まで普通に話してたじゃん。何、急に。てか、そんな奴だったっけ？




っていうか浮気してたの？いつから？何で？


そんな事を頭が巡り巡ったが、声もかけないで欲しいなんて言われたら声をかける気も起きなくて。




そんな事を聞かされたその日の内に大学の廊下でスニョンと鉢合わせをしてしまった。



どうしよう、そう考えているとスニョンは私の姿を見て目を逸らしそのまま通り過ぎて行ってしまった。



そんなスニョンの姿を見て怒りが沸々湧き上がった。何であんたにそんな対応されなきゃいけないんだ、被害者はこっちじゃないか、と。




結局、私達は卒業まで一言も話さずにお別れしてしまった。


　
　
　
　
　
　
　
　
　
　






あれから4年後。平凡な日常が変わってしまった。



「A、今日から俺の後輩が働きに来るって言ったの覚えてる？」



そう声をかけてきたのは私の働いてるバーのオーナーのスンチョルさんだった。そして私の好きな人。


『はい、覚えてますよ』


「もうすぐ来ると思うんだけど、新しいリキュールの調達して来るから後は任せても大丈夫？」


『大丈夫ですよ！任せてください』


そう笑顔で返事すると、ありがとう、そう言って私の頭を撫でてくれた。中々いい関係になってきている気はする。







スンチョルさんが出て行った30分後にバーの扉が開いて新しいバーテンダーの方が来たのが分かり扉まで迎えに行った












『お待たせしまし………………っ』


「……………え、あ、A…？」



目の前に現れた新しいバーテンダーはあの日、最悪な事をして最悪な別れ方をしてしまった元彼だった。
　
　
　
　
　
　

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