百三十九話。 ページ40
Aside
窓から日の落ちる様子を眺め、それからポケットに手を突っ込んだ。
その中には十円玉が6枚と、五十円玉が2枚。一円玉が３枚。
時々陽太に触れながら、ぼうっとしているともう日の落ちる時間になる、となり始めた頃。
やはりこのままでは無理だと思った。
お金を貯めるにしても限度がある。
いま、雄英高校に通っているという現状がある以上は、どうにもできない。
陽太の汗ばんだ額をそっとタオルで拭い、頭を撫でてからICUから出た。
そして、公衆電話に向かった。
そこで十円玉を入れ、あるところに電話をかけた。
「…もしもし。」
「…その声はAかな。久しぶりだね。」
「久しぶりね、先生。
話があるからそっちに行っても？」
そう言うと、乾いた笑い声が聞こえてきた。この人がどこにいるかは知っている。
それが約束だからだ。
陽太を殺せば、私はその場所を伝える。その他拠点の可能性も上げる。
私が裏切ればあの子は死ぬ。
そういう、一番最初に交わした約束だから。
「ああ、分かったよ。
雄英高校での任務についてかな？
良さそうな子は見つかったかい？」
「そのことも含めて話したいの。
もう時間がないわ。今夜、向かうから。」
そう言うと連れないなぁ、なんて電話越しから聞こえてきた。ムカつく声だ。
それでも私はコイツには逆らえない。
あの子の命を取られている以上、どうにも出来ない。別にそれを憎むわけでもない。コイツが約束を守るとは限らないけど、コイツのおかげであの子は生きてる。
あの地獄から助けてくれたのは事実だから。
「切るわよ。」
「ああ、楽しみに待っているよ。」
含んだような笑い声を残して、電話は切れた。ギリギリだったな。
やっぱり、十円ばかりではどうにもならないだろう。さて、早くしないと。
夜が来てしまうから。
「寺田さん、陽太のことを宜しくお願いします。」
「…うん。
Aちゃんも頑張ってね。」
ペコリ、と頭を下げて病院から出た。
私はあの男が待つところに向かった。
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ミナミ(プロフ) - 佐々さん» ありがとうございます！相澤先生かっこいいですよね、私も推しなのですごく分かります！褒めていただけて嬉しいです！これからもよろしくおねがいします！ (2021年6月24日 18時) (
レス) id: f5a254d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
佐々 - 相澤先生推しなのでとても嬉しいです！夢主の気持ちの揺らぎ方がとってもうまく書かれていてすごいです！これからも頑張って下さい！！ (2021年6月21日 19時) (レス) id: 664e728fec (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - サキさん» どうもありがとうございます！不定期ですが、何卒宜しくお願いします！ (2021年6月7日 17時) (レス) id: f5a254d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
サキ - 文章力があり、とても羨ましいです！！更新応援してます！ (2021年6月6日 13時) (レス) id: 9e2ae1981f (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - ありがとうございます！更新遅くなりましたがこれからもどうかよろしくおねがいします！ (2021年5月30日 21時) (レス) id: f5a254d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
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