百三十三話。 ページ34
お茶子side
「Aちゃん？どうしたん？」
そう声をかけた。
いつもと様子が違ったから。どこか焦ってるような、そんな感じがした。
それに、いつものAちゃんならこういうときに電話には出ないと思う。そもそも、携帯を持っていることも知らなかったけど。
それでも、なにか変だ。
そう思って聞いたけど、Aちゃんはいつもどおりに笑うだけだった。
何も変わりはしない、笑顔。
たまにそれが、ちょっと…ううん、すごく怖くなってしまうときがある。
Aちゃんの奥底のものを、見れていない気がして。まだ、Aちゃんには何かがあるような、そんな気がしてしまって。
「…大丈夫だよ！
ちょっと、行かないと。」
Aちゃんはそう言うと、周りの静止も振り切って、走っていった。
振り切った、というより聞こえていなかったのかもしれない。
物凄い速さで、携帯を放り出して行った。
咄嗟に掴んだ携帯からは焦ったような声が聞こえてくる。
女の人の、Aちゃんを呼ぶ声。
「麗日、貸せ。」
相澤先生が異変に気づいて、そう言われた。
私は言われた通りに携帯を先生に渡した。Aちゃんの姿はとっくに見えない。
どこに行ったんだろう。
私には教えてはくれなかった。
多分、きっとAちゃんは誰にも教えるつもりがないんだろうな、なんて予想がつく。
そんな人だってことが、なんとなく分かる。
Aちゃんはいつも、肝心なことを言わない。
私達が知りたい、Aちゃんの事を一切教えてはくれない。
どこに行くの。
どこへ走ったの。
そこに、私はいけないの？
Aちゃんの事、もっと知りたいよ。
明るくて、よく笑って、天然な女の子。
完璧で、何でもできる才色兼備。
誰よりも上を目指している。
仲良くなったとは思う。
でも、私はAちゃんの事を何も知らないんだ。何で、ここにいるのかも。
どんなヒーローが好きかとか、どんな食べ物が好き、とか。
そんなことも知らない。
教えてよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 529人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミナミ(プロフ) - 佐々さん» ありがとうございます！相澤先生かっこいいですよね、私も推しなのですごく分かります！褒めていただけて嬉しいです！これからもよろしくおねがいします！ (2021年6月24日 18時) (
レス) id: f5a254d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
佐々 - 相澤先生推しなのでとても嬉しいです！夢主の気持ちの揺らぎ方がとってもうまく書かれていてすごいです！これからも頑張って下さい！！ (2021年6月21日 19時) (レス) id: 664e728fec (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - サキさん» どうもありがとうございます！不定期ですが、何卒宜しくお願いします！ (2021年6月7日 17時) (レス) id: f5a254d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
サキ - 文章力があり、とても羨ましいです！！更新応援してます！ (2021年6月6日 13時) (レス) id: 9e2ae1981f (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - ありがとうございます！更新遅くなりましたがこれからもどうかよろしくおねがいします！ (2021年5月30日 21時) (レス) id: f5a254d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
