百八十九話 ページ41
緑谷side
僕はまた、気が付けばAに守られていた。昔からそうだ。
Aはいつも僕を助ける。
足一本、犠牲にしてでもそうした。
あの人の求めている人間にあたしはなれなかったんだから。と、Aはいった。
あの人は母さんのことだ。
そんなことないと叫びたかった。
でも、それはAには通じないことも分かっていた。僕たちは双子で家族なのに、全く違っていた。
それでも、母さんも僕も必死なんだと伝える術を僕は持ち合わせてはいなかった。
どうすれば分かってくれるのだろう。
Aの個性の影響だ。分かっている。
あの個性は殆ど常時発動しているから…Aの個性が発現してから僕たち家族はそうやって暮らしていた。
家族なのに、最も遠い場所にいた。
母さんと何度も話した。どうすればAと¨ちゃんと¨家族になれるのか。
個性をどうすればいいのか。
何でも試した。
でも、僕たちはそれすら嘲笑うように忘れてしまう。Aの個性は年々年を重ねるごとに強くなっていった。
それに比例するようにAも強くなっていった。
次第に僕と母さんは諦めた。
だから、出来る最低限をした。
せめて、学費と給食費は払えるよう口座を作り、食事はいつも多めにするようにした。
食事に関しては上手くいかなかったが学費と給食費に関しては上手くいった。
愛情が欲しかったとAは言った。
もっと伝えなければいけない。
この戦いが終わったら、家に一緒に帰って母さんと話そう。
もう、手遅れなのかもしれない。
あんな怪我をさせてしまった。
あんな風に自分を粗末にするようにさせてしまった。すべての原因は僕たち、家族だ。
家族なんかじゃなかった。
母さんだって覚えているときはAのこと、誇りに思ってるんだ。
ごく希だけど、そう言うときもある。
そう言うときは忘れないうちにAのご飯を作って置いたりしているんだ。
まだ、完全に忘れている訳じゃない。
だから、覚えていられる方法も在る筈だ。
ちゃんと話そう。
いくらでも、何時間でも。
君が愛と言うのを分かるように。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 588人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミナミ(プロフ) - 今井 明希さん» ありがとうございます！続編もこれからもよろしくお願いいたします！ (2020年2月12日 22時) (
レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
今井 明希(プロフ) - 面白いです！最新がんばってください！ (2020年2月12日 0時) (レス) id: d714c1a6ae (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 読んでくださってありがとうございます！背景ちょっといつも考えていたので気づいてもらえて嬉しかったです！これからも頑張るので宜しくお願いします！ (2020年1月29日 22時) (レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
メガネザル - 面白くて一気に読んじゃいました！ 更新頑張ってください！応援しています(*´▽｀*) (2020年1月28日 22時) (レス) id: 7074a2782f (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ - 続編応援してます！これからも頑張ってください。毎回、後ろの背景?が変わって何かワクワクしてます(語彙力がない) (2020年1月28日 21時) (レス) id: 717af831f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
