百八十七話 ページ39
Aside
足が膝より下が溶けた。
熱さは最早感じず、痛みが来る。
足一本ごときどうにでもなる。新たに作ることだってこの個性なら可能だ。
溶けてしまったから時間はかかってしまうだろうが。それでも、新しく作ることが出来る。命はそうとはいかない。
相「一旦引け！
その足じゃあどうにもならないだろ！」
緑「足なら作れます。
まだ、戦えます！」
飛んでくるマグマ。
ひたらすらに只、避けていく。何か打開策はないのか。考えていく。
それでも、頭に浮かぶのはさっきの言葉だった。神は愛してくれなんかしない。
その通りだ。
「何もかも恵まれ愛された少年を！羨ましがらないのでやんすか！？
足を一本、犠牲にしてでも救う価値がそいつにはあるのでやんすか？」
緑「…たかが、足一本。
どうせまた元の通りに出来る。
それにあの人は……そんなこと気にもとめない。あたしの怪我より兄さんの安否を気にするだろう。
あたしが死んだとて、気付かないと思う。
今、戦いづらいだけで何ら問題はない。」
「ヒーロー様は足よりも回りの命だとよ！
泣かせてくれる！
ご立派なモラリストじゃねぇか！」
モラリスト、ね。
緑「…モラリスト、か。
確かにヒーローって職業はモラル精神に溢れてると思うよ。そういう仕事だ。
でも、違う。
あたしにとってあの人は…違う。
何もかもを犠牲にする価値がある。価値観の相違と言うやつだろう。
欲しくてほしくて堪らなかった。得られないことは当の昔に理解した。
あの人は…あたしを見て笑わないんだ。」
あたしでは笑顔になってはくれない。
母さんはそういう人だ。
母さんを笑顔に出来るのはあたし以外の人。兄さんが一番そうできる。
「何をいってるんでやんすか？」
緑「……モラリストとは程遠い人間だってこと。」
虚しいな。
力が欲しい。
「そうですか。」
溶解とか言ったやつがこちらに手を向ける。
もっと、力が欲しい。
今のじゃ足りない。
もっと強く。
あの人があたしを見つけられるように。
見つけてくれるように、大きな名声が欲しい。
名声をヒーローとして得るには強く在らなければならない。
こいつらを倒せるような力を。
母さん。
あたしがいなくても母さんは笑っていられる。兄さんさえいれば。
緑「…あたしなんか、どうでもいい。
あの人の求めている人間にあたしはなれなかったんだから。」
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ミナミ(プロフ) - 今井 明希さん» ありがとうございます！続編もこれからもよろしくお願いいたします！ (2020年2月12日 22時) (
レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
今井 明希(プロフ) - 面白いです！最新がんばってください！ (2020年2月12日 0時) (レス) id: d714c1a6ae (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 読んでくださってありがとうございます！背景ちょっといつも考えていたので気づいてもらえて嬉しかったです！これからも頑張るので宜しくお願いします！ (2020年1月29日 22時) (レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
メガネザル - 面白くて一気に読んじゃいました！ 更新頑張ってください！応援しています(*´▽｀*) (2020年1月28日 22時) (レス) id: 7074a2782f (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ - 続編応援してます！これからも頑張ってください。毎回、後ろの背景?が変わって何かワクワクしてます(語彙力がない) (2020年1月28日 21時) (レス) id: 717af831f6 (このIDを非表示/違反報告)
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