百六十話 ページ12
Aside
それから皆の作った料理も無くなり、もうお開きと言う事になった。
あたしは梅雨ちゃんの部屋に一緒についていった。
梅雨ちゃんが私の部屋でやりましょう、と言ったからだった。正直、助かった。
あたしの部屋を見せて、質問されても嘘をつく自信は丸でなかった。梅雨ちゃんは鋭いし、気付かれないわけがない。
蛙「じゃあ、有り合わせだけれどこれを被って貰えるかしら。」
緑「…これは？」
蛙「ゴミ袋よ。
こうして頭の出るところだけ切って被れば、ちょっとは服に落ちないわ。」
緑「…そうなんだね。ありがとう。」
梅雨ちゃんは色々考えてくれていた。
あたしはもう、伸びているときに面倒だから一気に切ると言うのが常だった。
この間、姉弟が何人かいると聞いた。弟に妹。沢山いるからこんなに確りしているんだろうな。
蛙「じゃあ、切っていくわよ。
おかしくなっちゃったら、ごめんなさいね。なるべく頑張ってみるけど……。」
緑「…気にしなくていいよ。
あたしが無理、言っちゃったんだから。
よろしくね。」
蛙「ええ。
わかったわ。」
ゆっくりとハサミが入れられ、少しずつ、切られていく。
シャキ、シャキッ。
小気味よく音が響いていく。
人に触られるのは好きじゃないのに嫌悪感を抱かなかった。寧ろ、どこか心地いいような、そんな感じ。
時々、髪を優しく手櫛でとかしていくのも心地いい。
梅雨ちゃんは優しい。
だから、自分が余計汚く黒く思えてきてしまう。梅雨ちゃんを眩しく感じてしまう。
あたしが梅雨ちゃんの隣に立つ資格なんて何処にも無いだろうに。何故、隣にいてくれるのだろうか。
何故。
あたしはバケモノなのに。
母さんにすら、見て貰えない、愛して貰えないような人間なのに。
母さんに生まなきゃよかったとすら言われるのに。
どうして。
梅雨ちゃんはあたしを見捨てないの。どうしてなの。
お願い、教えて。
誰か答えを教えて。
こんなにも同級生に優しくして貰うなんて事は今まで一度だって無かったんだ。
分からない。
分からないのよ。
何もかも、分からない。
何故、梅雨ちゃんがあたしの隣にいてくれるのかも。
何故、嫌悪感を抱かないのかも。
何故、あたしを抱き締めたのかも。
丸で、何もかもを抱きすくめるような。壊れ物を扱うような優しさだった。
先生と梅雨ちゃんの手付きは似てる。
どうしてなの。
答えを、教えてよ。
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ミナミ(プロフ) - 今井 明希さん» ありがとうございます！続編もこれからもよろしくお願いいたします！ (2020年2月12日 22時) (
レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
今井 明希(プロフ) - 面白いです！最新がんばってください！ (2020年2月12日 0時) (レス) id: d714c1a6ae (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 読んでくださってありがとうございます！背景ちょっといつも考えていたので気づいてもらえて嬉しかったです！これからも頑張るので宜しくお願いします！ (2020年1月29日 22時) (レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
メガネザル - 面白くて一気に読んじゃいました！ 更新頑張ってください！応援しています(*´▽｀*) (2020年1月28日 22時) (レス) id: 7074a2782f (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ - 続編応援してます！これからも頑張ってください。毎回、後ろの背景?が変わって何かワクワクしてます(語彙力がない) (2020年1月28日 21時) (レス) id: 717af831f6 (このIDを非表示/違反報告)
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