百五十七話 ページ9
Aside
それから暫くして落ち着いたのか梅雨ちゃんはあたしから離れた。
いつものように笑っている。
本当にどうしたのだろうか。皆、やはり様子がおかしいように思える。あたしの思い違いなのだろうか。
蛙「…Aちゃん、髪の毛ちょっとだけ焦げちゃってるわ。」
緑「…ああ、これ？」
そう言って目立たないけれど少しだけ毛先が燃えてしまった髪を指差す。
濃い緑色の髪だから分かりづらいだろうけれど矢張、分かっちゃうものなのかな。
蛙「ええ。
それほど目立たないけれど、やっぱり痛んじゃってるわ。
切った方がいいわ。
美容院、このあと行きましょう？」
否、気持ちは嬉しいんだけど……。
緑「…あたし、美容院行ったことがないんだよね。」
蛙「？今までお母さんに切ってもらっていたの？」
言わなきゃいけないのだろうか。
言いたくない。
これ以上、踏み込まないで。お願いだから。
憐れむような目で見てほしくなかった。
その時は咄嗟に嘘をついた。お母さんには悪いけど。でも、そうしないとやっていられなかった。
緑「…うん……。」
それに気付いたのか、気付かなかったのかあたしには分からなかったけれど、梅雨ちゃんはそれ以上何も聞かなかった。
蛙「けろけろ。
そうなのね。じゃあ、私と一緒に行きましょう？いいところ、教えてあげるわ。」
そう言われた。
今は生憎お金を持っていない。
誰かに借りないといけないし借りたとしても返せるか分からない。
今、あたしの貯金は二千円。
それだけじゃあとても足りないだろう。それに、他人に触られるのは…嫌いだ。
緑「…嬉しいけど、遠慮するよ。
お金も今は無いし……それに、そう言うのあんまり好きじゃないの。
落ち着かなくて、ね。
ちょっとだけだし、自分で切るよ。」
今あたしの持ってるハサミ(十年もの)で切れるかは分かんないけど。
こればかりはしょうがない。
そう言うと、少しまだ納得していないような表情を梅雨ちゃんはしていた。
すると、一つの考えが浮かんだ。
緑「…じゃ……あ、梅雨…ちゃんが切って。
お金は払うよ。少しだけになっちゃうけど。でも、他の人に切ってもらうより……梅雨…ちゃんがいいな。」
何でかは分からない。
でも、切ってほしいと思ったんだ。
触れられたくない。
その筈なのに。
蛙「…人様の髪を切るのは責任重大ね。
でも、そう言って貰えるなら切らせてもらおうかしら。」
けろけろ。
可愛らしく、また笑って答えた。
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ミナミ(プロフ) - 今井 明希さん» ありがとうございます！続編もこれからもよろしくお願いいたします！ (2020年2月12日 22時) (
レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
今井 明希(プロフ) - 面白いです！最新がんばってください！ (2020年2月12日 0時) (レス) id: d714c1a6ae (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 読んでくださってありがとうございます！背景ちょっといつも考えていたので気づいてもらえて嬉しかったです！これからも頑張るので宜しくお願いします！ (2020年1月29日 22時) (レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
メガネザル - 面白くて一気に読んじゃいました！ 更新頑張ってください！応援しています(*´▽｀*) (2020年1月28日 22時) (レス) id: 7074a2782f (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ - 続編応援してます！これからも頑張ってください。毎回、後ろの背景?が変わって何かワクワクしてます(語彙力がない) (2020年1月28日 21時) (レス) id: 717af831f6 (このIDを非表示/違反報告)
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