百四十三話 ページ45
Aside
それから時間になり、パトロールに向かった。場所はナイトアイ事務所のすぐ近く。
ゆっくりと町を歩く。
サーが言っていた通り、それほど治安も悪いところでは無いようで人が多い割には穏やかなところだった。
あたしはアリアなんだ。
その実感が少しずつ沸いてくる。
なんだかくすぐったいような、変な感じがした。
そりゃあそうか。
去年まではヒーローになりたいとすら思ってもなかったもの。今からヒーローだなんて、本当に変な感じ。
不意に、風船が飛んでいくのが視界に入った。風船は赤くて、どんどん上へと上がっていっていく。
子「あ！僕の風船！」
母「あらあら。
あそこまで飛んでいったらもうとれないわよ。また今度貰おうね。」
子「ヤダヤダ！！
あの赤いやつじゃなきゃやなの！あれじゃ無いとダメ！」
母「そんなこと言われても……。」
その男の子は駄々を捏ねて泣き始めてしまった。
風船はどんどん上がっていき、そろそろ見えなくなりそうだ。
緑「ちょっと待ってくださいね。」
そう言うとふわっと風を操り風船をこちらに呼び戻した。赤い風船。
紐をつかむとその男の子に風船を手渡してあげた。
緑「はい。」
子「うわぁ！
ありがとう！お姉ちゃん！」
母「すみません。
貴方、ヒーローさんですか？」
そう聞かれた。
ああ、この人たちから見たらあたしは……ヒーローになるのか。
緑「いえ。
私はインターン生なんです。つい先日、仮免を取得したばかりで。今日は初めてパトロールを任されたんです。」
子「お姉ちゃん、ヒーロー？」
ニコニコしてそう聞かれた。
かわいいと素直に思った。あたしにはこんな風に笑えた幼少時代は無かった。
さっきは否定したけれど……サーの言葉を思い出した。市民の前では、あたしはアリアになるんだ。
緑「…うん。
まだ、ひよっこの卵だけどね。」
にっこり笑って返すのが正解だと思った。
作った笑顔。
こんなあたしでもヒーローなのか。
拭えない違和感。
母「本当にありがとうございます。
頑張ってくださいね、パトロール。」
緑「はい！」
そう言って親子から別れ、パトロールへと戻ろうとしたそのときだった。
常に空気の動きを見ていた。
だから、すぐに気付いた。まぁ、見ていたと言っても怪しいからといって本当に悪いことしているわけではないこともある。
ついでに、室内は気付きづらい。
緑「…お母さん、離れてて！」
「銀行強盗だ！！誰か捕まえてくれ！」
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ゆゆ - だ、誰落ちになるんだろう...() (2020年1月27日 19時) (
レス) id: 307b6a2115 (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 田中さん» バブルガールの台詞でしょうか？そこならば確認したところミリオンと呼ばれていました。その他の呼ばれ方もサーはミリオですし間違いはないと思うのですが…間違ってたらほんとすみません。場所も教えていただけると有り難いです。 (2020年1月23日 21時) (レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
田中 - ミリオ先輩のヒーローネームは私の記憶違いでなければルミリオンではありませんでしたか？ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 8a90152d92 (このIDを非表示/違反報告)
彼雨(プロフ) - 私は思った…もしや禁断の恋来るパティーン！？ (2020年1月13日 21時) (レス) id: 1d3d5b016f (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - ななさん» ありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです！これからもよろしくお願い致します！ (2020年1月11日 20時) (レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
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