二百八十九話。 ページ40
爆豪side
先生に伝えなかったのは、ただ単に本当に戻ってくる気がしたからだった。
言葉にするなら、Aの善性を信じたというか。
Aが戻ってくることに善とかそんなものが関わってくるとは思えもしなかったけれど。
だけれど、そんなものを、それに近いものを信じた。
ここでAが取るべき行動はきっと、自分の今までの行ったことを自白して、そして弟を助けるように命を乞うて、それから償うために生きることなのだ。
でも、きっとそれだけはしない。
あいつはこの世界をきっと、あまりにも嫌っている。
そして、残酷さをあまりにも見すぎている。
俺があいつを通して見たもの以上のものを見つめているはずで、そのすべての人生でそこに体を突っ込んで飲み込まれている。
どんな言葉も届かないだろう。
今すぐ飛んでいって、そうしなければきっと助けられはしない。教師は気づいた。
Aは教師に救われる気は全く無いのだろうから、それきり姿を消していってしまうだろう。
今日しかチャンスはない。
だけれど、今日では仮免は取れない。
どれだけ足掻こうと、また手の届かない場所に行ってしまうだろう。
「…爆豪くん、何知ってると？」
丸顔がそう聞いてきた。
何。
あいつの、何を知っていると言えるのだろうか。
きっと、そう呼べるものは殆ど無い。
「何も。」
ただ少しだけ、記憶力があっただけ。
あの泣き叫ぶ声が、耳についてはなれなかっただけ。
あの頃の自分に見栄があっただけ。
あの頃の自分が、あいつのヒーローとやらになりたかっただけだった。
ただそれだけで、それだけでしかない。
「私は、もう間に合わへんのかな。」
「知らねぇよ。」
ただ、確実に俺は間に合わない。
丸顔は、麗日は間に合うのか。
そんなことどうやったってわかるわけがなかった。
「爆豪くんは、間に合うん？」
「…知らねぇよ。」
俺が、救えるような相手だったら。
そうはいかないだろうに。
ただ、それでも、それでも諦めない。
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ミナミ(プロフ) - yuaさん» ありがとうございます！これからのシリーズもどうぞよろしくお願いいたします！！！ (2022年10月23日 16時) (
レス) id: 6614ae932f (このIDを非表示/違反報告)
yua - コメント失礼します! シリーズ全部読ませてもらいました! 全部面白くて、感動しながら読んでいます。 更新頑張ってください!! (2022年10月22日 15時) (レス) @page50 id: 658ebb7b55 (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - Reeさん» ありがとうございます！更新頻度も気まぐれだというのに多くの方々に読んでいただけてうれしいです！これからも応援よろしくお願いします！ (2022年10月18日 20時) (レス) id: dce04d5ff9 (このIDを非表示/違反報告)
Ree(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく読ませて頂いてます！凄く面白いです。爆豪と相澤先生推しなので更に最高と思いながら♡これからの展開がとても楽しみです。陰ながら応援してます。 (2022年10月17日 19時) (レス) @page47 id: dbef1d39c6 (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - にゃんこうどんさん» ありがとうございます！！とても嬉しいです!爆豪くんもかっこいいですよね…人気投票１位なのもなっとくですしギャップ萌えやばいですよね！これからもこの作品をよろしくおねがいします！ (2022年9月19日 14時) (レス) id: 6614ae932f (このIDを非表示/違反報告)
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