二百六話。 ページ7
Aside
「疑って悪かったな。」
寮へ向かう道すがら、相澤先生はそう言った。
別に構わない。というか、ごまかしただけで実際は本当に私が内通者だ。だから、別に何も思わなかった。ここで普通は何というのだろう。
よくわからない。
わからないから、適当に答えることにした。
「別にいいんですって。
あの男は、ちゃんと捕まったんでしょう？
タルタロスに入って、もう出てこないんでしょう？
それなら、別にいいです。
両親のことも、そこまで、割り切れていないわけではないけれど、あの日のことを後悔してるわけじゃないんです。」
何度も考えた。
もし、両親への情だけであの日両親を私の持てる全てで救っていたらどうなっていたのかと。
きっと、弟は死んでいただろう。
両親は両手を上げて喜んで、次の日からまた同じ日々が続いていたのだろう。生きるためへのハードルをあげられて、超えさせられる。
最終的にはきっとオールマイトなんだろう。
その日々を想像するだけで、吐き気がした。私はそんな日々を生きるわけには行かなかった。
一番身近な小さな命を守りたかった。
「お前は悪くないよ。
助けられる個性って知らなかった。そもそも個性が使えない、扱い方をまともに理解していなかった。
お前があの日、その選択をしたから今あの敵は捕まっているのかもしれないし、弟くんはちゃんと生きているんだろう。
お前は、何も悪くない。」
そう言って、いつものように相澤先生は頭を撫でてきた。いつもより一層、優しく。
許されたような気がした。
これまでのすべてが、この人に許してもらえたような気が。そんなわけがないのに。許されるなんてことはないだろう。多くを見捨てた。
これからも見捨てる。
その罪の重さを知っていながら、これからも見捨てていくのだ。
「お前は、いいヒーローになる。」
それはどういう意味なのだろうか。
この間私は陽太に、ヒーローはとても職業的だと言った。その言葉を訂正する気はない。
ヒーローという言葉の意味はこの年月の中で個性が生まれたことによって、何もかもが形を変えて仕事としての意味を持つようになった。
それはいいことじゃないだろう。
もし、この人が職業的でない意味でのヒーローを指しているのなら、この人は間違っているだろう。
私は、敵なのだから。
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猫(プロフ) - 凄く面白いです！！更新されるたびワクワクしていました(*´ ꒳ `*) (2022年1月23日 0時) (
レス) @page14 id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
hgf、jhさいこうでs - 最高です‼️何回も読み直しています！続きが楽しみです。。。ああ、早く夢主ちゃんを救って欲しい。。。 (2022年1月21日 20時) (レス) @page13 id: 9afd2abc65 (このIDを非表示/違反報告)
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