六十一話。 ページ12
Aside
甘い、花の匂いは嫌いなんだけどな。だけど、この匂いは違う。
知っている。
この匂いを。
その匂いが呼び起こしたのは温かなものだった。からっぽの箱が満たされていくような、心に染みていくものが。
ああ、そうだった。
私は、この人たちのことが好きだった。
だから、悪口を言われても罵られても辛かったけど耐えることができた。この人たちが幸せになれるのなら、それは何があろうと私の本望だから。
好きだから、守りたかった。
失うことの方がずっと辛いことを知っていたから。たくさんのものを失くして、その様子を見ていたから。
失わないように、どうか笑っている日々が続くように、祈っていた。
私はそこにいなくてもいいから。
それに、この人たちはなにもしてこなかった。悪口はいったけどそれだけで秋谷のように傷つけてこようともしなかった。
この人たちは、誤解をしていて罪を私がおかしたと思っていたんだろう。
うぬぼれかもしれないけれど、もしかして罰を受けて改心したように見せていれば案外元のようになっていたのかもしれない。
「…A、ごめんなさい。」
震えた声。
後悔してくれていることも見れば分かるもの。皆が私を大切にしてくれていてだからこそ皆も傷ついてしまったことも。
やり直したいと願ってくれているのかな。
笑いかけてくれるかな。
当たり前のあの日々が戻ってくるのかな。
…そうであれば、どんなに幸せか。
そうできるかな。
幸せは、とりに行かないと逃がしてしまう。そんなことはしたくないな。
「…いいよ、もう。
もう、いいよ。
私も伝えなかった。伝えられなかった。
ごめん、ごめんね。ゆるして。
私、皆と一緒にいて幸せだったから頑張れたの。幸せだった頃がちゃんとあったから、信じて頑張れたの。
わかっているよ、ちゃんと。
皆が後悔してくれてるのも、元のようになりたいと思ってくれてるのも。
ねぇ、私も望んじゃだめ？」
望むべきじゃないかな。私は痩せこけて醜くなってしまって、皆と話すことを怠ってしまいには八つ当たりまでした。
こんな私が望んでも迷惑かな。
図々しいかな。
「…ごめんな……さ、い。本当に…。
駄目な、わけがないでしょう？
ありがとうございます。
あなたは、悪くないです。今も、これまでも。」
泣いて掠れてる声は温かくて、求めていたものだった。そこには、元のような。
大好きなしのぶちゃんの姿があった。
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モブ好きだわ - あ、名前変えてしまいました！言うの忘れててすみません！ (2021年4月29日 18時) (
レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
モブ好きだわ - ミナミさん» そうなんですか！ 教えてくださってありがとうございました！だからかぁ…ﾎｪｰ他の読者さまは有難いですねぇ…でも良かったです！作者様がそのコメントが気になって作品書くのを止めなくて! (2021年4月29日 18時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - ダークファンタジーマジおもろさん» 読んでくださりありがとうございます！1の方ではですね、少し厄介な方があらわれまして…ストーリーについて言われたりだとか、他の読者の方が止めてくださったんですけど止まらなくて。トラブルの元となるために消させていただきした。返信遅れてすみません。 (2021年3月24日 18時) (レス) id: f5a254d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
ダークファンタジーマジおもろ - あと何で1のコメント欄削除したんですか？ﾋﾟｴﾝ 理由教えて欲しいです汗 (2021年3月21日 20時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
ダークファンタジーマジおもろ - 完結してよかったです!!!最後はハッピーエンドでよかったです!!!私今3DSで見てるので文字数があまりわからないのでここら辺で終わらしときます!!!今までありがとうございました!!! (2021年3月21日 20時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
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