優しさを知らない少女。 (ページ35)

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三十四話。ページ35

Aside

　

「…は？」

　
落ちた先は死柄木のいるところ、つまり相澤先生が敵と交戦している真っ只中の場所。

何がしたいんだ、死柄木は。

　
「…山岸！？」

　
「敵の個性で飛ばされました！足で纏いにならない程度に頑張ります！！」

　
どの顔も見たことがない。適当に集められただけの集団。
ここに私を落としたということはそこまで重要でもないだろう。全部やっていいってこと。

そう判断して迷わず殴った。

こういった戦闘は久しぶりだけれど、大丈夫。問題はない。感覚は衰えていなくて、忘れてもいない。

　
「…なにこれ。」

　
「脳無さ。」

　
「脳無？」

　
脳がないようには見えない。だけれど。人ではない。超回復で見た感じ、生きている人じゃない。

何ていう生物なんだろうか。

死体を生き返らせているのだろう。それか、個性の複合の結果で自我を無くすかしてしまったのか。ただ一つ言えるのは、これは人じゃないってこと。

　
死柄木は私の言葉に律儀に返す。

怪しまれないか心配だけど、先生にはそこまだ気にしてる余裕もないらしい。取り敢えず雑魚をぶちのめしてからこの見るからにやばそうなのを応対しようとしている。

　
個性は超再生と…ショック吸収？まだ複合されている。黒霧と似てるな。

　
「…遠慮なく行かせてもらうよ？」

　
殺られる前に殺る。

　
そう思って思い切り殴った。結構本気で。超回復を使って、殴った衝撃の怪我はなかったことになる。相変わらず便利なことで。

ともかく、折れるほど力強く殴ったのにもかかわらず、この脳無とやらは動かない。

　
「…へぇ。」

　
次の瞬間。

自分の肩の骨が砕ける音がした。