二話。 ページ3
Aside
ゆったりとしたバーで静かに水を飲む。
頼めば紅茶なんていう洒落たものも出してくれるだろうけれど、そういうのは飲まないことにしている。落ち着かないし、そういう線引きを重んじている。
あちらは勝手に仲間だと…言うと思うが、私なりのけじめ？とかいうやつだ。
「宮端A、依頼です。
あの方から直々に。」
「…どんな？」
「雄英高校に潜入するように、と。今年…というか来年、オールマイトが教師になるらしいです。」
「やれよ。」
横にいた死柄木がそう言った。
知っていたのか、驚いてはいない。オールマイトが教師なんて、笑ってしまう。似合わないだろう、あんなやつに。
きっと、何もかも忘れて生きてる。いや、わたしのこと…両親のことは覚えているだろう、その痛みも。だけれど、きっと、その全ては覚えていない。
哀れな娘がいたことなどきっと。
成長した今の姿なんて、きっとどれだけ考えてもあの頭じゃわからないだろうな。
「いいわ。全く、依頼なんて形じゃなくても頼んでくれたらやるのに。絶好の嫌がらせ、できるじゃない。」
「そうだな。
あいつの顔が歪むなんざ、想像しただけで楽しいね。」
首を掻きながら、その血をにじませて。
この男のことは好きじゃない。まるで、ずっと子供のような気がする。だけれど…嫌いでもない。
確実に、好きじゃない。
でも同じようにあのヒーローに何もかも歪められた人間となると、親近感も湧く。
親近感は湧けど、それでも私はこの男にすら下に見られ、貶される対象であるのは間違いがないし、その事実を認めてる。
「いえ、そういう契約、というか約束でしょう。あなたの弟への手術費は今回で足りるのでは？」
「…ああ、そうね。
やっと、ね。」
「どうでもいいそんなこと。勝手にやってろ。
おい、来い。」
そんなことを話しながらも死柄木は命令する。
死柄木と寝ることは別に、嫌でもなんでもなくなった。もう、苦痛じゃない。
もう、痛みを感じない。
あの頃に比べれば、何百倍もマシ。
それが終わったら、寝て、明日お見舞いにでも行こうと思いながらバーを二人で後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 199人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とまと - 4話のアイスの話，買ってが勝手になってるような？私の間違いでしたら申し訳ありません🙇♀️ とっても面白いです！ありがとうございます！ (8月7日 12時) (
レス) @page5 id: 3865ce0038 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - ここで終わりなんですか!?!?やばいちょー気になるんですけど!? (5月11日 19時) (レス) id: a3782054c4 (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 夏みかんさん» 教えていただきありがとうございます…！現在運営様に問い合わせているところです。結果のほどは少々お待ちください。 (2022年10月24日 8時) (レス) id: 6614ae932f (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん(プロフ) - いつも更新を楽しみにしています。削除された作品ですがこちら https://uranai.nosv.org/revive.php からや問い合わせなどで復元できないでしょうか？ (2022年10月24日 1時) (レス) id: 3fe706e418 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
