三百二十四話。 ページ26
陽太side
「…さて、ここだな。」
作戦が始まった頃。
家についた。その家は古びていて、かすかな記憶には程遠い出で立ちとなっている。人気はほとんどなく、住宅街というのに空き家が目立った。
「今は博物館になっていて…立ち入りは自由だ。今日は許可を取っている。さぁ、入ろう。
何かあればすぐにいってくれよ。」
「はい。」
家を開けると、ホコリを被っていた。
長らく人が来ていないのか。博物館ならもう少し片付けられていてもおかしくないが、忘れ去られたのか。
でも、新しい靴跡が会った。大きい、男？
クラストも誰かきたとも思っていなかったのか驚いたように目を丸くした。
「…へんな感じですね。
住んでいたのに、何の感慨もない。」
「そんなものだ。
思い出さなくていいものだって存在する。」
ふらふらと歩き回って、一箇所、やはり靴跡が気になって。
その靴跡はまっすぐ、本棚に伸びていた。
それが何故なのかわからなかった。初めてくるわけではないのか。それにしたって…なにか、異変を感じる。
なんとなく、本棚を見るとたくさんの心理学の本が収まっていた。どれもこれも一様にホコリを被っている。
そして、やはりというか。一冊だけホコリを一切被っていない本があった。
その本を抜き出す。
そして、そんな予感がした。
わきのテーブルに置かれた同じくらいの分厚さの本を押し込んだ。すると、がた、と音がして軽く本棚が押せてしまう。
その奥。
階段があって、奥に暗く続いている。
記憶では、僕はそこには行っていない。押し殺すような姉ちゃんの叫び声に震えながら、姉ちゃんの帰りを待った。
すべてを知る。
それは義務だと思うから。だから、止められるような声を無視して、その先に向かって足を伸ばした。
地獄への入口のようなその道は、昔、誰かがいった言葉を思い出した。
『地獄への道は善意で舗装されている。』
その言葉に、僕たちのようだと姉ちゃんは、悲しい顔で笑ったのだ。
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (11月10日 19時) (
レス) id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 紅さん» 読んでいただきありがとうございます！これからも宜しくお願いします！ (8月1日 18時) (レス) id: 6614ae932f (このIDを非表示/違反報告)
紅(プロフ) - 表現が全部現実的でリアルで感情移入してしまうほどに全部リアルで１つの感情に色んな思いが込められているのが伝わるような物語で夢中になって読んでいました！これからの展開がとても楽しみですこれからも応援してます！！ (7月31日 20時) (レス) @page34 id: cae32cbb5a (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 読んでいただきありがとうございます！優しさを知らない少女全編復活しました…！長らくお待たせいたしましたこれからも宜しくお願いします！ (7月15日 21時) (レス) id: 6614ae932f (このIDを非表示/違反報告)
lokiloki - 更新ありがとうございます!! (7月8日 22時) (レス) @page17 id: 74c5318e0a (このIDを非表示/違反報告)
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