三百二十一話。 ページ23
陽太side
トントン拍子に話は進んでいった。
護衛につくヒーローはクラスト。有名らしい。僕は知らなかったのでなんとなく緊張するが、安心して任せられると言われたのでホッとした。
多分エンジェルとスピリットとも親しかっただろう。
それはなんとなく察せられて、でも、たぶん有名なヒーローというのはほとんど、そういう場所にいたヒーローだ。あの両親ともそれなりに上手くやっていただろう。
一度だけ、顔合わせに合う機会が会った。
「やぁ！こんにちは、僕はクラストだ！」
「…こんにちは。宮端、陽太です。」
差し出された手を掴むと、しっかりと握られた。
ゴツゴツとした、手。姉ちゃんもこんな手だった。豆が潰れてたり、傷があったり、痩せてゴツゴツしていて。でも優しくてその手が大好きで。
その全ては僕を守るためにしたことなんだ。
「君の命をしっかり守るからな！なにか困ったことがあったら何でも気軽に行ってくれ！」
「はい、よろしくお願いします。」
明るい声は、人々が頼りにするのも納得がいった。みんな、こんなヒーローを求めるのだろう。
エンジェルとスピリットは少なくとも表向きはそういうヒーローだった。家では最悪だったけど。でも、確かに救われた人々はいたのだ。
その感情の少しだけでも、僕たちに向けてくれていたら。
きっと、それだけで良かったのに。
なにはともあれ、姉ちゃんにもう一度会うために僕ら言えに帰れることになった。クラストとともに。
家にいるともわからない、だけれどなにかの手がかりを探したくて。血にまみれたあの場所に帰って、なにか、なにか小さなことでも知りたかった。
姉ちゃんを知りたかった。
いや、宮端Aという人がどうやって生きてきていったのかを僕は知りたかった。
去りゆくクラストに、明るい声に、その態度にずっと姉ちゃんを思い出す。
確かに僕のヒーローは誰よりも姉ちゃんがそうだった。姉ちゃんが僕にとってのヒーローだった。どうして今更こんなことに気がつくのだろう。
もっと早くにわかっていないといけなかった。
情けなくて流れる涙を拭って、それでも立ち上がって強くなるために勉強をした。
今思えば、姉ちゃんが死んでしまってから割とちゃんと立ち直れたのは周りの影響と、奥底に残っていた記憶のせいかもしれない、なんて想いながら。
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (11月10日 19時) (
レス) id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 紅さん» 読んでいただきありがとうございます！これからも宜しくお願いします！ (8月1日 18時) (レス) id: 6614ae932f (このIDを非表示/違反報告)
紅(プロフ) - 表現が全部現実的でリアルで感情移入してしまうほどに全部リアルで１つの感情に色んな思いが込められているのが伝わるような物語で夢中になって読んでいました！これからの展開がとても楽しみですこれからも応援してます！！ (7月31日 20時) (レス) @page34 id: cae32cbb5a (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 読んでいただきありがとうございます！優しさを知らない少女全編復活しました…！長らくお待たせいたしましたこれからも宜しくお願いします！ (7月15日 21時) (レス) id: 6614ae932f (このIDを非表示/違反報告)
lokiloki - 更新ありがとうございます!! (7月8日 22時) (レス) @page17 id: 74c5318e0a (このIDを非表示/違反報告)
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