二十五話。 ページ26
Aside
家族は嫌いだ。
形だけで、なんの意味もない。家族だからと守ってきたのに裏切られた。人の想いは変わる。変わってしまう。
結局、すべては私が悪い。
私の行ってきたこと。
私の選んだ道。
あの子は、璃太はそれに巻き込まれただけだ。私の生きたい道を選んだ過程で殺された。守れた命だったかもしれない。
変わってしまった。あの子は。
でも、そうであったとしても守りたかった。
自分が悪いくせに、怯えて傷つきたくなくて、守れなかったことに後悔して関係のない人間を巻き込み傷つける。
そんな自分が、一番嫌いだ。
そんなこと、分かっている。
でも、もう曲げられない。
この生き方を私は曲げられない。家族を嫌わないとやっていけない。
「…A、俺の娘にならねぇか……?」
なぜ、この人は同じ言葉を繰り返すのだろう。断るのに。
私のことも聞いただろう。
弟を、殺したのだ。
「…家族は嫌いなの。
私は、あの子を守れなかった。
あの子は裏切ったんだ。死の際に立って、死にたくなくて鬼の道を選んだ。
そこで、私とあの子の道は別れた。
なのに、全責任を私に責めたのよ。
そんなことはもういや。
守れなくて何故あんなことを言われなければならないの?
出来ることと出来ないことがあるのに。
くだらなくはない?
人は変わる。
その想いも変わる。あの子は変わったわ。決定的に、何かが変わった。
裏切るもの、壊れるものなのに何故関わってるの?」
「…お前は、全部自分のせいだと本心では思ってるんだろう。
違うか?」
全てを、見透かされた気がした。
唐突に泣きたくなった。
叫び出したくなった。
私のせいだ。決まっているだろう。あの子をつれていっていれば、もっと早くに戻れば。
殺しさえ、させなければ何があっても押さえつけて珠世さんのところに連れていった。
大切なんだよ、璃太が。
「…諦めさせる口実なら、止めとけ。
そんなんじゃ諦めねぇぞ、俺たちは。
家族が嫌いなのも、くだらないと想っているのも本心なんだろう。
でも、それ以上にお前はお前を責めてる。
グラララ……俺たちは簡単に死にゃしねぇ。
永遠はないだろうが…壊れないものもないが…だから、いいんだろう。
俺たちと来い。
楽しいぞ。
弟を殺すことになったのも、弟が鬼になったのも、弟が人を食ったのもお前のせいじゃねぇ。
今までのことなんか忘れちまえ。
俺たちがお前の家族だ。
……最初からな。」
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シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています (2022年11月9日 10時) (レス) @page28 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 面白いです!続き楽しみに待ってます! (2020年11月28日 23時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - 続き楽しみです! (2020年11月12日 8時) (レス) id: 5b21830898 (このIDを非表示/違反報告)
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