家族なんか要らない。【ONE PIECE】×【鬼滅の刃】 (ページ25)

今日:9 hit、昨日:15 hit、合計:64,661 hit

二十四話。ページ25

Aside

　

さっきの鬼、速かった。

その動きを目で見た通りに、音で聞いた通りに再現しながら島中を駆け、鬼を殺した。

いつもよりも呼吸の精度が上がっている。

技の威力も格段に上がった。
いつもは凍り始めてしまうのだけれど大丈夫そうだ。

呼吸の精度が上がったから、体温が維持できている。

鬼の音が完全に消えて、一応見てないところも確認してから船に戻った。

呼吸をやめると自分から出る冷気はなくなった。服を見ると所々凍っていた。

　
「A！！」

　
「Aさん！！」

　
みんな、待っていたのか笑って迎えてくれた。話も聞いたのだろう。
少し、落ち着かないような悲しいような音が鳴っていた。

隠の、璃亜もそこにいた。

家族には、ならない。
璃太が、あの子のことが大切だった。何よりも、どんなものよりも一等大切だった。

あの子のために戦い、あの子の未来のために生きた。

くだらない。

誰かのために生きるなど、ふざけている。そんなことで自分が死ぬわけにはいかないだろう。どんな人間も、己が一番なのだから。

あの子も、そうだった。

確かにあの瞬間、守らなければと思っていた。もう一度捨ててしまおう。

そんな想い。

師匠が死に際、生きろといったから生きた。

この世も悪くないと、お前達の日々は幸せで後悔はないと言われた。

私のせいで師匠を自害させてしまった。

あの子を死なせてしまった。

分かっている。
何もかも、悪いのは私だ。竈門兄妹に当たっていることも。

あの子を助けられたはずだ。

竈門禰豆子が、ああなっているのに私にはなにもできなかった。

私たちは最初から家族などではなかったのだ。

家族である限り、私は誰かを傷つける。
大切なものも守れない。実の親にすら殺されかけるような私にはそんな価値存在しない。

誰かを、大切にして守れず。

誰かを、守ることが怖くて逃げて。

もしかしたら、幸せになれるかもと望み。

弟を、師匠を、五人の子供たちを私が殺した。

　
私さえいなければよかった。
そう考えても、あの子は戻らない。私の考えは変わらない。変えない。

だから、生きる。

璃太と同じ響きの名を持つ璃亜を避けた。
生きることは苦しかった。

でも、鬼を殺すことが私にできる唯一の贖罪だった。

生きろと言われた。

幸せがあると。存在しないと、私には与えられない別物だと否定している。
用は自分勝手なのだ。

人を嫌い、家族を嫌いその癖与えることもできない。

滑稽だろう。