家族なんか要らない。【ONE PIECE】×【鬼滅の刃】 (ページ23)

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二十二話。ページ23

マルコside

　

「…一ヶ月経ち戻ると、璃太は人を食っていました。五人。

人を食い散らかし、鬼として人を喰うことに酔っていました。彼女は説得しました。
思い出すように。

鬼でも殺したのは五人。

彼女ももしかしたらと思ったのでしょうね。でも、璃太は大好きな姉の背を爪で引き裂き、殺そうとした。

彼女は実の弟を殺しました。

その手で。
彼女のことです。きっと感触も何もかも覚えているでしょう。

その瞬間は私も見ていました。

あんなにいい子だったのに。

でも、鬼を殺すと正気に戻ったり人だった頃の記憶を取り戻したりします。璃太もそうでした。

璃太は叫びました。

『…お前のせいだ！

お前のせいで僕は死ぬんだ！
お前なんかが家族じゃなきゃよかった…！死んじまえ！！

お前が僕を殺すんだ！

人殺し！！

人殺し！！』

　
その場にいた私や悲鳴嶼さん、それから居合わせた隠はなにも言えませんでした。

彼女もなにも言葉を出すことなく弟を見つめていました。
あれから八年になります。

彼女は一人で生きていきました。

今では当時のことを知っているのは悲鳴嶼さんと私のみとなりました。他の方は亡くなられてしまって。

実の弟が鬼となり人を喰った。

それは瞬く間に広まり、彼女はたった一人、遺族の家に向かい謝罪をしました。璃太を殺したそのつぎの日に土下座をしました。
八年間、何度も頭を下げています。

殺された五人は八人家族の子供たちで親御さんや同居していたお祖父さんは長いこと許しませんでした。

彼女はその島の近くの任務となると必ずたちより、謝っています。

彼女の師匠は何も言わずに全ての咎を背負い介錯もつけずに切腹し、彼女は一人になりました。」

　
それはあまりにも凄絶な過去だった。

実の弟をその手で殺し、その弟に人殺しと罵られたった一人心を許していた師に死なれ。

何を思って今を生きているのだろう。

　
「鬼殺隊は誰も彼女を責めませんでした。
誰が、そんなこと出来ますか？

私たちは彼女がどれほど璃太を大切にしていたか知っていました。だから、誰も責めなかった。

以来、彼女は家族を嫌っています。

一人で鬼を殺すためだけに生き、鬼を憎み暗闇の中で過ごしています。

私は彼女と同行することが無くなりました。彼女は一人でもよかったし、鬼殺隊は人がいつでも足りません。

私は彼女に告げなければならなかった。

あなたのしたことは正しかったと……間違ってなどいなかったと。」