家族なんか要らない。【ONE PIECE】×【鬼滅の刃】 (ページ20)

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十九話。ページ20

Aside

　

その恐れはなくていいものだった。

必要なかった。その恐れは確かに、あるものを持たなければ浮かばないものだから。

事実、ここ何年も浮かばなかった。

　
水面を蹴りあげ、飛び上がり最速で鬼の頚を狙う。これでこの一撃で止めを指す。
冨岡も竈門も後を追ってきた。

でも、誰も間に合わない。

駄目だ。それだけは。

　
「……ユア！！」

　
ユアは私を心配していたのだろう。

だから、甲板に残っていた。他の人も同様だ。あの子は稀血なのか？

ダメだ、刃が間に合わない。

　
「…ヴー………！！」

　
それは鬼化が進んだ竈門禰豆子だった。

だか、制御している。ユアを守っている。そして、あの鬼を燃やし一時的に引き留めて時間を作った。

行ける。

この鬼を殺せる。

　
「……竈門禰豆子！！
感謝する！！」

　
氷の呼吸、参ノ型寒天ノ流儀。

　
最速の速さで頚を切り落とした。血の巡りを速くしたけれど難しかったらしく少し体が凍ってしまった。

まぁ、気にするところではない。

血は流れている。
羽織も裂かれてしまった。治りかけのところ…お腹にも一発食らったし今度は骨折れた。

けれど。

　
「…怪我は、ない…よね。」

　
その問いにユアは頚を縦に振った。

そして、笑っていた。
ホッとしていた。捨てたはずのものはとっくに私の中に戻っていた。

そして、私はそれをもう一度捨てる。

必要ないものとして。
要らないものとして。

要らない。

家族を大切にするわけがわからない。鬼は人を食う。そうだ。人を食う。
だから、殺さなければならない。

人を食うのだどんな鬼も。

…人を食わず、人を守るこの鬼を私はどうしたらいいのだ。

　
「…氷柱様！
怪我はございますか！」

　
一人いた隠がそう聞いてきた。

あるが大丈夫だと答え、他の鬼を探すと伝えた。まだ動ける。
止まっている間に他にいたらいけない。

上弦でも鬼は増やせるのだから、用心しなければ。

それと、竈門兄妹にも言わなければ。

　
「…まだ、妹を殺してなかったのか。」

　
そう言うと竈門炭治郎は警戒した。

何故庇うのかわたしには心底理解ができない。分かるわけがないだろう。

　
「…妹を殺せ。

その妹のせいで誰かが死んだらどうする。それで責任はとれないだろう。

お前や冨岡、鱗滝さんの命では責任はとれない。

鬼は殺すべきだ。」