【番外編】０４ ページ49
一瞬で後悔した。
普段の俺なら軽く流してた。
ネットの推測は、本当のことを見つけるほうが難しい。
分かり切ってることなのに。
その名前が並んでることにもイライラするし、
Aがニコニコと藤浪に笑いかけてる映像をみて
携帯を投げそうになった。
＿＿
診断結果は、右肘の内側側副靱帯の損傷。
自宅に帰るまでの道は、喋る気にもなれず終始無言。
家に着くとすぐに自分の部屋に籠った。
「なんでこんな時にいねぇんだよ‥‥」
理不尽だってことは分かってた。
だけど隣にいない彼女に対してまた苛立ちが募った。
＿＿
そこから1週間は部屋から出ることが出来なかった。
一平さんが毎日生存確認するために、家に来ていたことは知っている。
やっと部屋からでたとき、リビングで一平さんの話し声が聞こえた。
左手で持ったケータイを耳に当てていた。
直感でAに電話してるんだと察した。
「いいっつってんじゃん」
そのまま一平さんの手から携帯を奪った。
「俺、怪我したんだよね」
あまり心配をかけたくなくてサラッと言ってみる。
「でも問題ないから。しばらくは打者に専念することになるけど。そのうちまた投げれるようになるから」
これも嘘。本当は、医者から手術をした方がいいと言われていた。
手術をすれば１年は投げられない。
温存療法で治る希望があるならと思い、今回はそっちに賭けた。
案の定、Aは黙ったまま。
彼女はスポーツ選手ではない、トレーナーでもない。
こんな時に大丈夫だよ。とかそんな軽い言葉を並べる子ではないのも分かってた。
なのに、関係のない藤浪の顔がチラつき、
なにも言えないAに対して無性に腹が立ってしまった。
そこからAが帰ってくるまで、連絡を取ることはなかった。
＿＿＿
球団が俺の精神状態を心配して、メンタルケアもできる美紀さんを派遣してきた。
美紀さんに話してると心が軽くなった。
だけどそれでもどこか物足りないのは、
彼女はAじゃないからだ。
やっぱりAがいないとダメだった。
＿＿＿
数日後、Aが日本から戻ってきた。
美紀さんのことを気に入ってないのは一目でわかった。
色々質問してきて挙句の果てには、
『もうわたし必要ないじゃん』とか言い出した。
こいつはなんにも分かってない。
俺がどれだけAを必要としてるか何も分かってない。
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まち(プロフ) - 切なすぎます。更新楽しみにしてます (2023年4月8日 23時) (
レス) @page50 id: 6ba1d4a17e (このIDを非表示/違反報告)
るる - こちらのお話が大好きです！次の展開も楽しみにしてます！！ (2023年4月8日 10時) (レス) id: c1f7251b5b (このIDを非表示/違反報告)
chika0811ab(プロフ) - 泣きました。素敵なお話し本当にありがとうございます。続編気長に待ち続けます。 (2023年4月7日 23時) (レス) @page45 id: 43f90433e5 (このIDを非表示/違反報告)
若葉(プロフ) - 高校卒業のときに渡した花束より本数も増えて込められた気持ちも強くなってより泣けました😢 世間の目や彼を思った夢主の行動がかっこよすぎる…✨続編も楽しみにしてます！ (2023年4月7日 22時) (レス) id: 0d70f41477 (このIDを非表示/違反報告)
ぴんく(プロフ) - 番外編も最高すぎです😭続編気長に楽しみにしてます！ (2023年4月7日 21時) (レス) @page50 id: a93e51db73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々
| 作成日時：2023年3月28日 17時
