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試合がない日は、静かなスタジアム。
関係者入口付近に佇んでると待ち望んでいた人の姿が。
『‥‥‥美紀さん！！』
驚いた表情で振り返り、こちらに歩いてくる。
美「Aさん、どうしたんですか。‥‥翔平くんなら今日は‥‥」
『翔平じゃなくて美紀さんに会いに来ました』
美「えっ‥‥」
『美紀さん、この前わたしに言いましたよね。‥‥翔平の傍に居られないなら離れた方がいいって』
美「‥‥ええ‥」
『あれからずっと考えてました。‥‥ううん、違う。本当は前から分かってたんです。職業柄、彼が必要としてくれるときに傍に居られない。だから離れた方が‥‥自分じゃない誰かが翔平のとなりにいるほうがいいんじゃないかって』
美「‥‥」
『分かってました。‥‥だけどわがままだけど‥‥翔平がいるといい歌を歌えるんです。翔平はわたしにとって大事な人なんです。翔平と一緒に夢を追いかけたい。その気持ちが大きくてなかなか決断できずにいました』
美紀さんは黙ってわたしの話を聞き続けていた。
『わたしはこの仕事を辞めることはできません。‥‥あいつと約束したから。何もない田舎の丘の上で、バカみたいな夢叫んじゃったから‥‥』
美「‥‥何が言いたいの」
『‥‥美紀さん、翔平のことよろしくお願いします』
溢れ出る涙を隠すように深々と頭を下げ、
美紀さんの返事も聞かずにその場を去った。
＿＿＿＿
ここ数日の記憶はない。
ただただ目の前にあるスケジュールをこなし、
なにも考えないようにしてたのは確かだ。
翔平ともあれから
“おはよう”
“おやすみ”
のやり取りだけで話ができないままでいた。
もうすぐシーズンもオフとなる。
例の週刊誌の記事は、明日発売されるらしい。
マスコミ対策のため1週間は事務所から用意されたホテルで生活することになっている。
ベッドに寝ころび目を閉じた。
まだわたしよりも小さかった幼稚園の頃＿
翔「Aちゃん！」『しょーへーくん！』
小学校のとき＿
『うぇ〜ん、、転んじゃった(泣)』
翔「だいじょうぶ！ぼくがまもってあげるから！」
中学生のとき＿
『翔平！！起きて！！』
翔「ん〜〜、Aがチューしてくれたら起きる」
『このド変態思春期野郎！！』
翔「痛っ！！」
高校生のとき＿
翔「A」『あ、卵坊主』
大人になってた今でも＿
翔「‥‥愛してる」
増えていくあなたとの思い出。
今度こそは忘れることができるだろうか。
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まち(プロフ) - 切なすぎます。更新楽しみにしてます (2023年4月8日 23時) (
レス) @page50 id: 6ba1d4a17e (このIDを非表示/違反報告)
るる - こちらのお話が大好きです！次の展開も楽しみにしてます！！ (2023年4月8日 10時) (レス) id: c1f7251b5b (このIDを非表示/違反報告)
chika0811ab(プロフ) - 泣きました。素敵なお話し本当にありがとうございます。続編気長に待ち続けます。 (2023年4月7日 23時) (レス) @page45 id: 43f90433e5 (このIDを非表示/違反報告)
若葉(プロフ) - 高校卒業のときに渡した花束より本数も増えて込められた気持ちも強くなってより泣けました😢 世間の目や彼を思った夢主の行動がかっこよすぎる…✨続編も楽しみにしてます！ (2023年4月7日 22時) (レス) id: 0d70f41477 (このIDを非表示/違反報告)
ぴんく(プロフ) - 番外編も最高すぎです😭続編気長に楽しみにしてます！ (2023年4月7日 21時) (レス) @page50 id: a93e51db73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々
| 作成日時：2023年3月28日 17時
