雪柱は愛欠乏症

少女を追って ページ10

Side 冨岡義勇

俺たちは、Aの屋敷まで来ていた。

「あら！湖があるわ！
　魚は泳いでいるのかしら！」

「甘露寺、あまりそっちに行くな。
　湖に落ちたらどうするんだ。」

甘露寺が、屋敷の横にある湖に注目する。
それに伊黒もついて行く。


「湖があるのか、これは派手だな！」

宇髄の価値観が時々分からなくなるのは俺だけだろうか。


「いませんねぇ、Aさん。」


「うむ！気配がまるでない！」

何？Aはいないのか…


「、あれ…」

時透が声をあげて、指を指す。

「あァ？鎹鴉じゃねぇか。」

「…なぜ、屋根の上にとまっているのだ。」

見上げると、屋敷の屋根の上に、鎹鴉がとまっていた。


「なんですかねぇ？あれ。」


すると、鴉がいきなりこちらに飛んできた。

「！？」


「カァー！カァー！
　ヨク来タ、ヨク来タ。
　Aニヨウカ？ヨウカ？」

なんだ…この鴉。


「…Aの鴉か？」

「ソウダ！ソウダ！
　Aハココニハイナイ！イナイゾ！」

うるさく鳴く鴉。
胡蝶が少し苛立ってきている。


「お前、派手な素質を持ってそうだな！」

「ソウカ！ソウカ！？」
宇髄が、鴉の素質を見抜いたようだ。

「さらにうるさいのが混ざり始めましたね、」

マズい、胡蝶がさらに苛立っている。


「……Aは、どこにいるんだ？」

とりあえず、宇髄と鴉を離そう。

「Aハ、浅草ニイルゾ！
　案内スルカ？案内スル！」

そう言うと鴉は飛び始める。


「……待て。」

「甘露寺、伊黒！浅草に行くぞ！」
煉獄が湖に居た二人を呼ぶ。

「浅草ァー！浅草ァー！」


鴉を追って、俺たちは浅草に向かった。

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