雪柱は愛欠乏症

鬼殺隊最強の剣士 ページ6

しばし、向かい合う二人。

先に動いたのは、Aだった。



ーーーー最初は、様子見かな。


胴を狙い、竹刀を振る。

すると、

「……呼吸も使わないとは、舐められたものだ…。」


…！！

私の竹刀は空を切り、いつの間にか、岩柱の竹刀が私の頭上に現れる。


驚いた…その図から出る速度？

ていうか、そっちも呼吸使ってないよ。

舐められてるなぁ。

岩柱からの攻撃を竹刀で受け流し、少し距離を取る。


そして、すぐさま技を放つ。

『雪の呼吸、弐の型 夜叉吹雪(やしゃふぶき)』

岩柱に襲いかかる強い斬撃。


それを受け流す岩柱。


…

………なんか戦いにくそうだな。

さっきから少し岩柱の動きがぎこちない気がする。


そんなことを考えている間にも、岩柱からの攻撃はやまない。




…そうか、そういえば、岩柱の武器は刀ではないと聞いたことがある。

ということは、今この人の本気を見ることは出来ないのか？



カンカンッ

と竹刀がぶつかり合う音が聞こえる。

得意武器でなくとも気を抜いたらやられる。
流石、鬼殺隊最強。


私は岩柱に立て続けに攻撃を浴びせる。
攻めの手を緩めるつもりはない。


だけど、やはり鬼殺隊最強の真骨頂を見れないのは残念だ。
ていうか、それではこうして手合わせしている意味がない。


頃を見て、お終いにしよう。


激しくぶつかり続ける二人の竹刀。

不意に、岩柱からの攻撃が止む。
Aはその隙に距離をとる。


再び相対する、岩柱とA。


「もういいや。」

Aが何でもないかのように呟く。


「…なに？」


「もうお終い。」

岩柱は私の言葉に唖然とする。

「終わりなんですか？Aさん。」


「うん。もういいや。」

そう言って隠の人に竹刀を預け、帰ろうとすると、



「待て、相手に礼を言うのは常識だ。」

蛇柱からの叱咤がとぶ。


「…岩柱さん。ありがとうね。」

素直に従わないと、あの蛇柱はいつまでも言ってくるから…


「Aちゃん、凄かったわ！
　とても強いのね、でも、そんなに強いのに、私貴方のお話を聞いたことがないのよね。
どうしてかしら？」


「確かに！その強さなら、噂の一つや二つ！
　有ってもおかしくはないはずだ！
　俺もAについては聞いたことがない！」

恋柱、炎柱が騒ぎ出す。

「それは…なんでですかね。」


音柱、風柱も話に入り、わーわーと喋りだす。
賑やかだな、柱達の仲もいい。



…帰ろ

私はお館様に礼を言い、本部を後にした。

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