雪柱は愛欠乏症

手合わせ ページ5

柱合会議では、主に鬼の情報や鬼殺隊の問題点などを出し合い、それについての話し合いを行う。

柱になったばかりの私は今までそう言った視点から鬼殺隊を見て来なかったため特に言うこともなく、鬼の情報など、全く持っていなかった。


私が黙って話し合いを聞いていると、蛇柱が「貴様も話し合いに参加しろ。何かないのか」
と睨んで来た。

正直何も出てこないし、私の隣にいる水柱や、あっちにいる霞柱とかも何も喋っていませんが、注意しないんですか？とも思っていた。


柱合会議は無事に進み、お館様の言葉で締めくくられた。

「それでは、柱合会議を終わりにしよう。
　これからも、鬼から人々を守ってくれ。」


「「御意。」」


やっと終わったなぁ…


そうだ、これであの人に…

私は岩柱の前に行き、話しかける。


「…手合わせをして欲しい。」

「私と、か…？」

「そう。」

鬼殺隊最強と言われる男。

岩柱 悲鳴嶼行冥。


是非とも、手合わせしてみたいよね。


「…いいだろう。」

その言葉に、思わず笑みがこぼれる。

「本当？ありがとう。」


その瞬間、部屋に静寂が訪れた。


………？

なんか、みんなこっち見てる？


「Aちゃん…！とっっても！かわいいわね！」
恋柱が、いきなり抱きついてきた。

「そんな顔も出来たんですね、Aさん。
　表情が動く様子がないので、冨岡さんのような方なのかと思っていました。」

「……？？」

蟲柱も変なことを言いだして、仕舞いには、


「うむ！Aは笑顔が似合うのだな！
　常に表情がなかったので、驚いた！」


「ああ、俺には遠く及ばないが、今のは中々派手だったな。」

「ふん…、貴様はもう少し笑え。」

炎柱、音柱、蛇柱もおかしなことをいいだす。


「は、？」

何なんだ…


「A。皆は君の笑顔がとても可愛らしくて、驚いているんだ。
　君は余り表情を動かさないからね。」

お館様が、私に説明してくださる。


可愛い…？私の、笑顔が？

可愛いってなんだろう…。
でも、そんなこと言われたのは、今までで初めてだ。

なんか、暖かくなる…
なんだろう、この感覚。
癖になりそうな、そんな感覚だ。


「南無……始めよう。」


そうだ、手合わせ…

隠の人に竹刀を持って来て貰い、庭に出る。

岩柱と向き合うと、空気が変わった気がした。


この人、本当に強いな…
鬼殺隊最強と言われるだけある。



お館様は縁側に立ち、他の柱達は庭に出る。

これは負けられないね、お互いに。

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