雪柱は愛欠乏症

本部への招集 ページ2

起きたら、頬が濡れていた。

「嫌な夢、」


朝から最悪だ。





「失礼します。鬼狩り様、朝食の準備が出来ました。」

襖を開けて入って来た青年は、この家の者、「藤の花の家紋の家の者」だ。
昨日から、世話になっている。


「ありがとう、すぐ行く。」

そう言って、布団からでる。


「…ふむ。まずは、お顔を洗いになってからの方が良いかと。」

青年が、私の顔を見て言う。


「…？何故。」



「目が…腫れてしまっています。
　お水で冷やした方がいいでしょう。」



気づかなかった、腫れるほど泣いていたのか…


「わかった、そうする。」


「では、お待ちしております。」

そう言って青年は部屋から出て行った。



隊服に着替え、顔を洗いに井戸に行く。
すると、一羽の鎹鴉がやってきた。




…この鴉、私の鴉じゃない…。


鴉は井戸の淵に降り立つと、喋りだす。

「こんにちは。」

！！

普通の鎹鴉とは違う。
人間が喋っているみたいだ…


「階級、甲の冬野(とうの)Aさんですね？
　お館様から、『鬼殺隊本部に来るように』と伝言を授かりました。」


「お館様が…？」

なにか、あったのか。

「わかった。今日、ここを出発する」


そう伝えると、鴉は飛び去っていった。







「…朝ごはん。」

キュるる、と私のお腹の鳴る音がした。






顔を洗い、目をしっかりと冷やしてから、屋敷に戻った。
朝ごはんは、どこから情報を仕入れたのか、私の好物ばかりで驚いた。




朝ごはんを済ませると、私は藤の花の家紋の家から、鬼殺隊本部に向かうため出発した。

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