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蛇と私 ページ45

二人だけとなった部屋にはしばしの沈黙が訪れた。

「…A。」

「なに…。」

最初にその沈黙を破ったのは伊黒だった。
伊黒は、先程の時透と同じように寝台の横に立っていた。

伊黒の睨みつけるような目が私に向けられる。

「なぜ、お前はあのとき、死を受け入れた。」


……、、え?

「地下に入ったとき、お前はあの鬼の攻撃を受け入れているかのように見えた。」

どういうことだ、と伊黒の目が私に語りかけてくる。


「…、そんなこと…ない。」


私は伊黒の強い目線に耐えきれず、少し伊黒から視線を反らす。

「いや、お前はあの時、生きることを諦めていた。」

伊黒がきっぱりと言う。
いつもはネチネチとしているくせに、今は妙にはっきりと言った。

私は、手をギュッと握りしめる。



「…あ、きらめてた、わけではない。」

声が、震える。



私はつい先程まで、とんでもない思い違いをしていた。

とても、恥ずかしい。


「ただ…誰にも必要とされないのなら、」


そう、あの時は誰にも必要とされていないと思っていた。
皆、私のことなんてどうでもいいのだと、

そう、思っていた。

「ここで死んだ方が楽だと…「お前は馬鹿か?」え…?」


「おまえは馬鹿なのか、そう聞いている。」

伊黒の声色が少し呆れを含んでいる。

「…確かに、私は馬鹿だった。
 勝手に突っ走って、迷惑かけて、柱失格だ。」


「…ふん、そうだ。お前は柱失格だ。」


やっぱり、そうだよ。
私は柱になるべきじゃなかったんだ…

「だが、理由は違う。」


「え…?」


「お前が柱失格なのは、勝手に突っ走って迷惑をかけたからではない。
 
 柱としての、自覚が足りないからだ。」


柱としての、自覚?


伊黒は呆然とする私を呆れたように見つめ、また話し出す。

「お前は柱だ。
 鬼殺隊を支える柱。
 柱というものは、丈夫でなくてはいけない。
 なぜなら、欠けてはいけないからだ。
 簡単に壊れてはいけない。」

そこで伊黒はフゥ…と息を吐く。


「雪の呼吸の使い手、
 【雪柱】冬野 A
 お前は、鬼殺隊に居なくてはならない、」
 



『大切な存在だ。』



伊黒の言葉は私の頭に深く溶け込んでいく。

そうか、私は、最初から。

お館様から柱に任命すると言われたときから、
私は、鬼殺隊に必要なものだったのか。

ひょっとしたら、

私はいくつもの人の気持ちを、蔑ろにしてきたのかもしれない。


そんな、申し訳ない気持ちが私の中にあった。


でも…

鬼殺隊の柱→←時の導き



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作品ジャンル:アニメ
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絵理奈(プロフ) - 明菜が夢主に罪を負わせますね、刀キャーとか嫌がらせされたとか身体が痣だらけだとか。 (2020年2月3日 18時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま(プロフ) - 和美さん» ありがとうございます。めちゃくちゃ元気でました!!更新頑張ります! (2020年1月8日 21時) (レス) id: b10489591d (このIDを非表示/違反報告)
和美(プロフ) - 最高の作品ありがとうございます!夢主ちゃんが早く幸せになって欲しい…大好きです!(((殴 更新頑張ってください! (2020年1月8日 11時) (レス) id: 02d0844636 (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま(プロフ) - www(アメーババババ)さん» わぁ!ありがとうございます!更新頑張ります( ー`дー´)キリッ! (2019年12月1日 19時) (レス) id: b10489591d (このIDを非表示/違反報告)
www(アメーババババ)(プロフ) - 好きです!(唐突)更新頑張ってください!! (2019年12月1日 17時) (レス) id: 9fbd33347e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちーかま | 作成日時:2019年12月1日 5時

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