カルテ24 ページ25
「はぁ…。」
暇だなぁ、とため息をつく。
医者の不養生とはこのことだったんじゃないか、と俺が入院している病室の天井を見る。
腕に巻かれた包帯の下はまだまだ癒えない。
相当深い傷だったようだ。
テレビではこの一連の事件を報道していた。
『××県××市の渡坂病院で患者を巻き込みながら医師が暴れたという事件で、逮捕された桑原 龍騎容疑者(30)はこの病院の精神科に勤めていました。桑原容疑者は容疑を認めています。』
桑原…お前一体なんなんだ…？
しばらくそのニュースを見ていると、彼の中学生時代の友人が話していた。
『もともとおかしい、というか…何かいつも僕たちとは行動の動機とかが違っていたんですよ。』
『今回の事件の容疑者が彼だと知ったとき、驚きましたが、正直納得しました。』
へぇ…。
サイコパスの患者はサイコパスだったんだな。
ふと、患者、という言葉にひっかかる。
あ…俺がこんななら…Aの治療は…？
その時。
「緋純先生〜…。」
少しおとなしめに入ってきたのはAと麗央くんだった。
噂をすればなんとやら、というやつか。
「なんか、報道されてるね。傷は大丈夫なの？」
彼はその事件以来変わったな、と思った。
唯一の支えであった桑原を失ったからだろうか。
自立しようとしているのだろうか…。
「君たちに心配されるほどではない。君たちこそ、病院は？」
「実はですね…退院許可をいただいたんです。私と、麗央くん。」
は…？
まさかこんな形になるとは。
俺がいない数日間に一体何が…。
「院長が僕たちの世話？をしてくれた。Aはほぼ完治に近いらしい。」
「はぁ？」
俺の努力はどこへいった…そんなふうに感じた。
「渡坂先生はきっと精神の病気なんだろうっておっしゃってました。まぁ、経過観察は必要になってくるらしいんですけど…。その点はまたよろしくお願いします。」
脳外科じゃなかったのか…。
まじか…。
「麗央くんは？これからどうするの？」
「僕はAの高校に転校する。勉強きつくなるかもしれないけど…頑張るよ。」
そっか…。
「渡坂先生は人体実験の証拠をもって自首するようです。次の院長が整うまでは居残るらしいんですけど…。」
次の院長？
「誰かいるの？」
すると、2人は顔を見合わせて笑った。
「私たちがどうこう言える立場じゃないんですが…渡坂先生が納得しちゃったので…。」
「緋純先生、院長やってよ。」
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円香(プロフ) - くまの助さん» 読んでいただきありがとうございます！ ジャンル、そうですね…アドバイスありがとうございます。 (2018年8月21日 7時) (
レス) id: d1740a14bb (このIDを非表示/違反報告)
くまの助(プロフ) - 気がつけば読み終えていました。ジャンルがファンタジーよりミステリーかな？という印象です (2018年8月20日 21時) (レス) id: 20308b11a1 (このIDを非表示/違反報告)
円香(プロフ) - 吐露@菊秦芳は露を吐くさん» ありがとうございます！病院シリーズは初めてなのでよくわからなかったのですが…そう言ってもらえて少し安心しました(笑) (2018年6月9日 20時) (レス) id: d1740a14bb (このIDを非表示/違反報告)
吐露@菊秦芳は露を吐く(プロフ) - なんだかお話の設定やら病院の雰囲気やらがしっかりしていて読みやすかったです！続きを楽しみにしていますね！ (2018年6月9日 20時) (レス) id: 07eaa6a5bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：円香 | 作成日時：2018年4月23日 17時
