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カルテ02 ページ3

ガラッと扉が開くと、そこには見慣れた高校生がいた。

肩で息してるから、また走ってきたな?

「はぁ…走ると町の人たちに変な目で見られるよ。君の目で見えてるものの半分くらいは、俺たちには見えないんだから。」

高校生、俺が担当しているAは戸を閉めて俺の前に座った。

Aは肩甲骨まで伸ばした金髪に近い茶髪を耳にかける。

「やっぱり担任の話が長くて。…あぁ、最近量より種類が多いんです、困りますよね。」

困りますよね、か。

「困る程度で済むんだったら俺たちがいる意味がないでしょ。で?他に変わったことはある?」

俺は、医者だ。

彼女は俺たちも知らない奇病にかかっている。

「あー、無意識のことがまた増えてきました。」

彼女の症状は、通常の人と同じ動きをしてるのに、本人は無意識であること。

そして、幻覚を見ること。

具体的な病名はまだ決まっていない。

だから、俺たちは勝手に“夢遊幻覚病”と呼んでいる。

「最後になったのはいつ?」

「昨日のお昼休みですかね。気づいたらお弁当がなくなって、お腹いっぱいになってました。友達はずっと普通に喋ってたよ、って言ってました。」

Aは、一緒にお昼を食べるくらい仲のいい友達には病気のことを言ってるらしい。

まぁ、言ってないといろいろ面倒だしな、今の高校生って。

「幻覚は何見るの?」

「えっと、今日見かけたのは…悪魔?かな。いっぱいいて、魔界にいるみたいでした。」

彼女はそれを避けて通る。

だから普通の人からしたら彼女はうねうねしながら走ってる変な人だ。

「そう。」

カルテを見る。

羽ヶ咲 A、16歳、高校2年。

部活は中学ではテニス部、高校1年までは陸上競技部に入っていた。

体力は充分あったはずだ。

そんな彼女でも、こんな病気にかかってしまう…。

健康診断も難なく突破できていた。

よほどの奇病なんだろう。

そして、一番下、俺の名前。

緋純 藍都の名前を確認してからAの方に向き直る。

「じゃあ、今日もMRI検査よろしくね。」

俺たちは彼女の病気を脳に原因があるとみた。

だから、Aが来るたびにMRI検査を受けてもらっていた。

Aはすぐに着替えて、機械に寝転んだ。

が、その途端。

寝息が聞こえた。

「ねぇ、A、起きてて。」

「あー、すいません。」

…何だかんだ、俺はAの診療をいつも楽しんでいるんだな。

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作品ジャンル:ミステリー, オリジナル作品
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円香(プロフ) - くまの助さん» 読んでいただきありがとうございます! ジャンル、そうですね…アドバイスありがとうございます。 (2018年8月21日 7時) (レス) id: d1740a14bb (このIDを非表示/違反報告)
くまの助(プロフ) - 気がつけば読み終えていました。ジャンルがファンタジーよりミステリーかな?という印象です (2018年8月20日 21時) (レス) id: 20308b11a1 (このIDを非表示/違反報告)
円香(プロフ) - 吐露@菊秦芳は露を吐くさん» ありがとうございます!病院シリーズは初めてなのでよくわからなかったのですが…そう言ってもらえて少し安心しました(笑) (2018年6月9日 20時) (レス) id: d1740a14bb (このIDを非表示/違反報告)
吐露@菊秦芳は露を吐く(プロフ) - なんだかお話の設定やら病院の雰囲気やらがしっかりしていて読みやすかったです!続きを楽しみにしていますね! (2018年6月9日 20時) (レス) id: 07eaa6a5bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:円香 | 作成日時:2018年4月23日 17時

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