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カルテ17 ページ18

「へぇ、Aの病気ってあんまりいないよね。」

香月くんとカフェで話していた。

この頃は香月くんは私をAと呼ぶようになった。

「うん、世界で5〜15人くらいしかいないみたい。」

「ふーん、なかなかお気の毒に。」

な…。

「なにそれ、他人事だなぁ。」

「…まぁね。」

「香月くんは?聞いてもいいかな、病気のこと。」

そう言うと香月くんは苦笑いを浮かべた。

「気になるよね、そうだよね。」

え、なんだろう…。

この間緋純先生が言ってたことを思い出した。

『おかしくなっちゃったみたい。』

「僕は数週間前まで虐待を受けていた。ほら。」

…!!

香月くんが見せた腕は傷だらけだった。

切り傷、打撲…あざ。

「僕はあまり喋らないんだけどね、なんだろう、“救われて”からこの通りだよ。」

自覚してるんだ…。

「考え方も変わったな…誰かに同情することが出来なくなった、他人の気持ちがわからなくなった。何が正しくて何が悪いことなのかわからなくなった。もちろん、精神的にね。」

…香月くんの告白はもちろん怖かった。

何が正しくて何が悪いことなのかわからない…か。

今ここで香月くんがナイフを取り出して私を殺そうとしても香月くんにとっては全く不思議じゃないってこと…。

そして、もっと怖かったのは、香月くんの表情。

いつもと何ひとつ変わらない表情だった。

…怖すぎるよ。

サイコパス、という言葉が頭をよぎった。

急に価値観が変わった。

他人と気持ちが共有できない。

おかしい。

「おかしいでしょ。」

これを何も気にかけず話すところも、『僕は君を殺すかもしれない』という忠告に見えた。

「香月くんは私をどうするの?」

「どうするって…大事にするよ、友達だもん。」

思いきって聞いた。

よかった、大事にしてくれるらしいから。

「そうだ、Aの担当医って誰?」

「あぁ、えっと緋純 藍斗先生。優しいよ。」

「え、緋純先生?髪長い先生だよね?」

面識あるのか…。

知り合いかな?

「少し前は精神科にいたんだけど、脳外科だよね?」

「うん。脳外科がメインなんだけど精神科の資格もあるみたい。」

「へぇ、すごいな。」

緋純先生は髪を下ろすと肩にかかるくらいの長さだ。

なんで伸ばしてるのかわからないけど普段は1つにまとめてる。

「香月くんは?」

「僕の担当医は桑原 龍騎先生。緋純先生と同じくらいの年じゃなかったかな。」

聞いたことないなぁ。

私は脳外科だし…。

いや…。

私は、桑原先生を“まだ”知らなかった。

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作品ジャンル:ミステリー, オリジナル作品
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円香(プロフ) - くまの助さん» 読んでいただきありがとうございます! ジャンル、そうですね…アドバイスありがとうございます。 (2018年8月21日 7時) (レス) id: d1740a14bb (このIDを非表示/違反報告)
くまの助(プロフ) - 気がつけば読み終えていました。ジャンルがファンタジーよりミステリーかな?という印象です (2018年8月20日 21時) (レス) id: 20308b11a1 (このIDを非表示/違反報告)
円香(プロフ) - 吐露@菊秦芳は露を吐くさん» ありがとうございます!病院シリーズは初めてなのでよくわからなかったのですが…そう言ってもらえて少し安心しました(笑) (2018年6月9日 20時) (レス) id: d1740a14bb (このIDを非表示/違反報告)
吐露@菊秦芳は露を吐く(プロフ) - なんだかお話の設定やら病院の雰囲気やらがしっかりしていて読みやすかったです!続きを楽しみにしていますね! (2018年6月9日 20時) (レス) id: 07eaa6a5bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:円香 | 作成日時:2018年4月23日 17時

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