急に現れた女 ページ5
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俺は何日間か間隔を空けてちょくちょくファラク村に来ている。
今日もいつものように村に行き、村長であるヘレーネさんに挨拶をしに行った。
he「わざわざ遠くから手伝いに来てくれて助かるよ」
gt「小さい頃お世話になったんだからこんくらいするよ」
he「はは、日々逞しくなっているようで何よりさ」
相変わらず元気そうなヘレーネさんに安堵する。
he「あぁそうだ、お前が知らないだろう女の子が今この村にいる。仲良くしなよ」
gt「女の子…?この村のやつじゃないんだろ?それは無理だわ」
he「はぁ…相変わらず警戒心が強いねぇ。いいじゃないかそのくらい」
gt「俺の立場の問題なんだってヘレーネさん。簡単に素性を明かせないんじゃ仲良く出来ねぇよ」
he「確かにそうだけどねぇ…多分、あの子はお前のこと知らないと思うけど」
gt「まぁどんな事情があるにしろ、俺の名前とか肩書きとか言うのやめろよ!」
絶対に怪しい。
こんな山奥の村に来るやつなんて、良いこぶった山賊か何かだろ。
信用された後に物を盗み人を殺すなんて、気持ち悪い。
そんなことを思っていると、先程話していた「女の子」だろうか、高い声がドアから聞こえてきた。
『ヘレーネさん、戻りましたー!』
俺は警戒心を高めてドアを見やった。
ヘレーネさんに言われたからすぐに処理するのはやめておくが、暫く監視しなければ。
はぁ……俺もそんな暇じゃねぇのに。
he「あぁ、おかえりA。お疲れ様」
『うん。ねぇヘレーネさん、その人は…?』
怪しむような目をこちらに向ける。
肩まである髪の毛をふわりと動かし、女はそう言った。
細身で、パッと見た感じでは戦いなんてしたことがないようなか弱い女に見える。
だが、そうであればあるほど警戒するべきだ。
その内側に、どのくらいの力を隠しているか計り知れない。
ヘレーネさんは女の問いに答える。
he「紹介しよう。こいつはぐちつぼって言うんだ。この村出身でちょくちょく帰ってくんのさ。」
…えぇ!?ヘレーネさん!?
さっき話したことは忘れたのか!?!?
gt「ちょ、ヘレーネさん!俺の名前は言わないでくれって言ったのに」
こいつに名前を知られてしまった。
めんどくさいな、予定が狂ってしまった。
…でも計画どおり、様子を見よう。
何か怪しい動きをしたら切ればいい。
そう思って、目の前の女を見返した。
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作者名:相羽ノア | 作成日時:2023年3月18日 17時