謝罪 ページ12
gt「俺さ、ヘレーネさんから色々聞いてはいたんだけど、転移の話全然信じてなかったんだ。」
『それはそりゃ…すぐに信じたヘレーネさんが凄いと思いますけど…』
ぐちつぼさんは続けてこう言った。
gt「こんな山奥に1人で居たってだけで怪しいのに、転移したとか突拍子もないこと言って、正直バカにしてんのかと思ってたんだよ」
彼は彼の近くに置いてあった私の私物を手に取り、それをギュッと掴んだ。
gt「でもこんな道具見たことねぇし、レオンさんの件だってそう。どの見聞を見ても、あんな解決法は乗ってないはずだ。…ここまで揃ったら、異世界人って認めるしかないだろ」
はぁ、とため息をつき、手に持っていた私の私物を近くに置くと、私に近づいて来た。
gt「だから、ごめん。今まで疑ってた。お前が不快になるような行動もとった。謝って許されることではないと思うけど…」
彼はガバっと勢いよく頭を下げる。
こんな形で謝られることになるなんて思って居なかったから凄く驚いたけど、彼の言動に誠実さが窺える。
フードは深く被ったままだし顔は見えないけど、本当は優しい人なんだろうな。
『気にしないでください。私だってぐちつぼさんの立場なら怪しんでいたでしょうし、私の方も貴方のことを怪しんでました。お互い様ですよ』
gt「…ありがとな。でも何か詫びをしたいんだが」
ぐちつぼさんは申し訳なさそうな声色で言う。
いつもは大きく見える彼も、今だけは小さく見えてしまってつい笑みが溢れそうだ。
そんなに気にしなくてもいいのに。
『じゃあ、フードをとってくれませんか?私、初めて会った時からずっと気になっていたんです。無理なら、被ってる理由とか…』
詫びだとしても、これは個人のプライバシーに関わることだ。断られても仕方がないとは思うが、気になったので一か八かで聞いてみる。
gt「あぁ、いいよ。…Aなら」
『へ?』
彼が初めて言った私の名前と言葉に驚きが止まらない。
し、信用してくれてるってことでいいんだよね?
gt「どうした?」
『いやっ、なんでもないです』
gt「そうか?…Aは良い奴だからな、貴族の奴らとは違うし」
____貴族?
何か過去にあったのだろうか?気になるが、詮索するべきではない。
彼はフードに手をかけ、パッと脱いだ。
170人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:相羽ノア | 作成日時:2023年3月18日 17時