私物 ページ11
ヘレーネさんの家に戻ると、ぐちつぼさんは持ってきた籠をキッチンの近くにおく。
彼女は先程使った食器の洗い物をしているようだ。
he「ありがとね。後の事は私がしておくから、今日はもうゆっくりしてていいよ」
『はい、ありがとうございます』
gt「んじゃ、早く行こうぜ」
『そうですね』
そう言って、私は彼を連れて自室へ入る。
旅行しにきたんじゃあるまいし、自分の荷物は少ない。部屋の中は質素だ。
棚の上に置いていた鞄をとり、ぐちつぼさんへ渡す。
『これが私の持ち物です』
gt「見た事ねえな…」
物珍しそうに鞄をクルクルと回しながらジッと見ている。
『その中にも入ってますよ』
彼から一旦鞄を受け取り、ファスナーを開ける。
中に入っていたスマホ、モバイルバッテリー、財布などを机の上に出していく。
gt「な、なんだこれ…どう使うんだ?」
『この四角いのはスマホと言って、調べ物をしたり遊んだりする時に使うんです。これはその充電器ですね。後はお金入れです』
順番に一つずつ説明する。
すると彼は不思議そうに首を傾げた。
gt「すまほ?ってやつ、こんな薄っぺらいのに調べ物なんて出来るのか?」
『そうですよ。私も詳しくは知りませんが…』
gt「凄いな。お前が居た世界ってのは技術が進歩してんだなあ」
『先人達と作ってくれた人のお陰です。…あ、そうだ。服も見せる約束でしたよね』
そう言ってクローゼットから制服を持ってくる。
実は転移する前、学校で疲れすぎて帰ったらそのままベッドで寝てしまったのだ。
ヘレーネさんと会って、「その服じゃ目立つだろう」と言われ、それからはずっと服を貸してもらっている。
gt「なんか触り心地が全然違ぇ。てか短すぎんだろ、ここ」
ぐちつぼさんはスカートの部分に指を差して言う。
gt「お前の世界じゃ、これが当たり前なのか?」
『少なくとも私は当たり前でしたよ』
gt「…寒くね?」
『……かなり。』
そんな哀れみの目で見ないでほしい。
こっちだって着たくて着てるんじゃないから!
内心そうツッコミを入れつつ、今も尚不思議そうに服を見ている彼を見る。
すると彼は手に持っていた制服を置き、私に視線を向けた。
gt「俺、お前に謝ることがあるんだけどさ」
『謝ること…?』
何か謝られるようなことされたっけ?
思い返しても中々出てない。
考えていると、彼は口を開いた。
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作者名:相羽ノア | 作成日時:2023年3月18日 17時