Last resort ・・・１５ ページ17
治side
Aにも苦手なもんってあるんか。
いや、人間やし当たり前か。
そんな事を考えながらAの話を聞いてた。
そしたらAの口からポツリポツリと
悩みがこぼれおちて来た。
『ちょっと前までは･･･』
『崩れ始めたのは……。』
『7月前くらいまでは上手くやってたのに……』
A自身が気付いてるのかは分からんけど、
ぶら下げた手に
持ってたトマトジュースのパックを
Aは無意識に掌で潰してた。
治 ｢なぁ、それって人間関係？｣
『まぁそうかな、それ以外にもあるけど。』
治 ｢大変やね。｣
はぁ、どうしてこうなっちゃったのかな、
とAは溜息をつきながら愚痴をこぼしてく。
治 ｢困った時あったら北上に相談してみれば？｣
この時俺が言った言葉が間違ってたのかもしれない。
『……え、深雪ちゃん？』
Aは北上と言うワードに強く反応した。
でもその時は気づかんくて、
治 ｢だって北上優しいし、相談乗ってくれるやろ。｣
『……そっかな。』
治｢おん、可愛ええし相談乗って貰えたら嬉しいわ。｣
ニコニコと北上を思い浮かべながら話してしまった。
『ねぇ、治。』
治 ｢ん、なんや？｣
『深雪ちゃんってそんなに大事？』
治 ｢……は？｣
『だから、深雪ちゃん。大切？』
その時のAの声は今でも覚えとる。
背筋が凍るくらい冷たくて、
刃物みたいに鋭かった。
北上はAや部活のために頑張ってくれてる。
一生懸命やってくれてる。
俺はAも大切やしそして
治 ｢北上も大切やね。｣
その一言にAは目を丸くした。
え、俺地雷踏んだ……？
『……そっ、か。』
一呼吸置いて発せられた声は、
何処か吹っ切れた感じがした。
私体調悪いから帰るね。
Aはそれだけ言い残して、
フラフラとした足取りで屋上を後にした。
俺はまだ知らない。
Aが狂い始めてることも、
何をしようと考えてるのかも、
悩みも心の声もなにもまだ知らない。
知ろうともしなかった。
·
Last resort ・・・１６→←Last resort ・・・１４
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 517人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヲタク - 面白かったです‼角名りんオチサイコーでした(*´꒳`*) (2022年12月29日 0時) (
レス) @page49 id: e2062574ee (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - ゆうさん» 初めましてです！最後まで読んでくださるなんて､､､凄く嬉しいです(T＿T)こちらこそ読んでくださりありがとうございます！ (2020年12月6日 19時) (レス) id: cd57ad852b (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - くまゆかさん» こんばんは！読んでいただきありがとうございます！日向翔陽の方更新できてなくてごめんなさい！あっちから来てくださりありがとうございます！ (2020年12月6日 19時) (レス) id: cd57ad852b (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - はじめまして！この小説、まだ途中しか読んでいないのですが、途中で泣きそうになりました。夢主の思ってることが凄い現実的で、感情移入してしまいました！最後まで読んできます！すてきな作品、ありがとうございます！ (2020年11月30日 17時) (レス) id: 5b49601941 (このIDを非表示/違反報告)
くまゆか - こんにちは！日向翔陽義妹いるんだってからこさしてもらいました (2020年10月1日 19時) (レス) id: 0a5d1e7901 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏蜜柑 | 作成日時：2020年5月30日 8時
