郷、妖怪に惚れる (ページ9)

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六匹目ページ9

A side

一際目立つ光り輝く城

門の前に立つ見張りに事を伝え、中に入る

入った瞬間、キツイ香の臭いと鋭い視線が私を包む

「A！！早く早く！」

仁斗に手を引かれ城の中に入っていく

『仁斗、もういいよ』

「そう？じゃあ行くね！」

『じゃあな』

「バイバーイ！！」

本当に元気だな...

『あーきっつ...』

甘い香が鼻を突く

「あっ！！」

女中がもっていた料理が宙を舞う

...指示されたな

『よっと』

女中を抱え、その場から抜ける

「え、ああっ...の」

『気をつけろ』

「は、はひ...///」

何故赤くなる？

『...』

「っひ...」

見慣れた顔を睨んでおく

『くだらない』

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挨拶も無しに襖を開け、ドカッと真ん中に座る

こんな奴に敬意などはらうものか

『何、用って』

言葉も敬語を使わない

「これっ！！なんじゃその口の利き方は！！いつもお主は...！！」

長の傍らにいる年寄りどもに口々に言われる

「よい、よい...まだ若いのだよ、Aは」

『はやくしろよ』

「まあまあ...」

そう言いつつ、長に絡みつく女どもの腰に手を回す

あーイライラする

「何故ここに呼んだか...頭のいいお前なら分かるね」

疑問形ではないのか

...知ってるな、足掻いても無駄か

『あぁ、人間だろう？』

「我々の世界では人間は悪いものだから始末するものだ...掟ではそう決まっている筈だよ、小さい頃に教えたよね...なのにAは人間を助けた」

『掟？そんなものあったっけ』

「それに...これは何回目？」

『知らね』

「何回というより今まで迷い込んだ人間全て助けているよね」

『そうだとしたら？』

「もう一度、掟を教えなおす必要があるね」

長の合図と共に襖の奥から従者が出てきた