三匹目 ページ6
郷 side
「また、君に会いたい」
自然と、この言葉が口から出ていた
『...は?』
彼女からは腑抜けた声
「...え、あ、すまない」
ぱっと手を放す
『...いや、いい』
「へ...?」
『また、会おう』
意外だった
「いいのかい?」
『あぁ...だが今日はこれまでだ、また明日必ず会おう』
「あぁ、必ず」
『では明日、夕刻の烏が鳴きだすころに』
瞬きした瞬間、彼女は消えた
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A side
嬉しかった
でも不安だった
私のあの卑劣な行為を郷が思い出してしまわないか
...心配するのはよそう
郷に気づかれてしまう
...あの子は変な所で敏感だからな
「A〜〜〜〜〜!!!」
『うおっと、どうした?仁斗』
飛びついてきたのは仁斗だった
私の幼馴染で雷獣といわれる妖怪だ
名前からして男みたいだがれっきとした女である
長が名前をつける時、男と間違えたらしい
ここで生まれる妖怪は長に名前をつけられる
名前とは縁という名の枷だ
一度付けたら変えられないし
長からは逃れられない
「どしたのー?ボーっとして」
『ちょっと読者に説明してた』
「?」
『で?どうした』
「あのね!長が呼んでた!今すぐ来いって!」
『えー!そうなのかー!じゃあ走って行かなきゃー!』
「そー言いながらイカ焼き買ってるよね」
『これ食べたら行くさ』
そう言ってたこ焼きも買った
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雷獣
名前の通りで、雷雲をまとった獣
後ろ足が二本あります
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作者名:ちくわぶ大明神 | 作成日時:2020年5月16日 0時