郷、妖怪に惚れる (ページ4)

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二匹目ページ4

郷 side

今私たちは大木の根本に身を隠している

何故だろうか

胸が熱い

鼓動も速い

走った時とは別の様な苦しさだ

何なのだろうか

一時間後＿＿＿＿＿

『もう大丈夫だろう』

改めて私は女性に向き直った

「改めて...助かったよ、ありがとう」

『礼には及ばない...偶に居るんだ、迷い込むヤツが』

「そうか...君の名前は？」

『...ん、あぁ、私はAだ』

A...？

聞き覚えがあるような無いような...

「A...か、私は郷剛太郎だ」

『...そうか、郷、今すぐこれを飲んで帰るんだ』

渡されたのは綺麗な魚の鱗の様なものだ

「これは？」

『におい消しだ、もう分かっているだろうが此処は人間が来るような所ではない...ましてや人間は良く思われていない』

薄々気づいていた

のっぺらぼう、河童、豆腐小僧や人魂...

確かに人間が来る様な場所ではない

『私が出口まで送ろう』

そう言われ、私はにおい消しを飲んだ

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

『じゃあな』

Aは私の額に手を伸ばした

「な、なんだ？」

『...またお前が此処に来ないようにするだけだ』

Aは悲しい顔をした

まるで、前にも同じことをしたような

「...嫌だ」

『？』

「また、君に会いたい」

自然と、この言葉が口から出ていた