郷、妖怪に惚れる (ページ22)

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十七匹目ページ22

仁斗 side

ちりり。ちりん。

Aが音を無視して油揚げを食べてる

なんか､いたたまれなくなって､ほんとの事を話すことにした

「A…ほんとはね､私がAの世話してる時も鈴は鳴ってたんだよ､何日か間はあったけど…」

『…そうか』

「ちょっとうるさかったから､取っちゃってたけど」

うそ。

A､ほんとはね…人間さんと会ってたこと､知ってたの

その鈴が二人を繋いでることも知ってたの

だってA､その人間さんと会った日はとっても優しい顔してたもん

親友の私にもしたことない顔

人間さんが羨ましくなって取っちゃったの

うるさかったからじゃない､私の勝手な醜い恋心がそうしちゃったの

「…呼ばれてるよ､ずぅっと」

そういうと､やっと顔をあげたA

「誰かは分かんないけど､待ってるよ､お相手さん」

ちょっと口がぱくぱくしてる､金魚さんみたい

「行ってあげなよ､人間さんは短いよ」

『…そうか､そうだな､会いに行ってやらないとな』

うん､その顔だよA

良かった､ずっとずっと落ち込んでたから

…ますます人間さんが羨ましくなっちゃうよ

『ありがとう仁斗､行ってくるよ』

「うん！！」

そう言うとAはお代を置いてお店から出て行った

それと同時に加々良さんが厨房から手を拭きながら出てきた

「あれぇ､帰っちゃったのぉ」

「うん､用事思い出したんだって」

「ふぅん…今にも泣きそうだねぇ仁斗ちゃん」

「え…？」

そう言われて目尻に手をやると微かに濡れていた

「あれ､あれあれ…」

指摘されたら止まんなくなって､段々目が熱くなっていく

止まって､止まってよぉ…

「可哀想に

.

.

.

ざまぁみろ」

そこで私の意識は途切れた