郷、妖怪に惚れる (ページ3)

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一匹目ページ3

郷 side

今回の撮影は泊りがけだった

今日は撮影はないので山を散策している

たしか神社があった筈だ

でもなんでだ？

ここには来た事は無いはずなのに

自然と足がそちらへ向いていた

一時間後＿＿＿＿＿

「ここだ」

随分と古ぼけた神社だ

狐の置物にはコケが生え

境内は雑草まみれ

社は腐りきって今にも崩れそうだ

だが鳥居はどっしりと地面に構えていた

私は鳥居に手を触れた

ひんやりしている...

訳でなく、どういう訳か暖かい

何故だろうか

「参拝...するか」

鳥居に足を踏み入れた瞬間

体が少し重くなった

そして

景色が変わった

縁日...？

辺りを見回しても人らしき人はいない

「臭う、臭うぞ」

「人間、人間だ！人間がいるぞ！！」

「殺せ！吊るし上げろ！！」

「な、なんなんだ」

『来い！！』

突然現れた狐のような女性に手を引かれた

「君は...？」

『あぁ？質問は後だ！今は走るぞ！！』

「あ、あぁ」

何故か、安心した

そして、私の手を引くその手は

＿＿＿＿＿震えていた