郷、妖怪に惚れる (ページ18)

今日:15 hit、昨日:1 hit、合計:6,420 hit

十四匹目ページ18

no side

翌日＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

ちりんちりりん。

小さな鈴が揺れ、可愛らしい音を出す

『来たな』

「...あぁ」

『どうした？元気が無いように見えるが』

「あ、あのさ...私、明日帰るんだ」

『...そうか、仕方ないな』

「だからさ、一日...君の世界で過ごさせてくれないかな」

『！』

「無理、かな？」

『そんなの出来る訳じゃないか！もしお前に危険が及んだらどうするんだ！』

「え、あ、すまない...」

『人間はすぐ調子に乗る！これなら先人達が人間を嫌う理由がよくわかる！！』

ふつふつとAの周りに火の玉が現れる

「そ、そんなこと言わなくていいじゃないか！」

『いいや！言わせてもらう！妖怪の住処を奪ったのも！汚い欲を持つのも！全部人間だ！人間も...お前も！大っ嫌いだ！！』

ゴッッ！！

二人の間に熱を持った火の壁が反り立つ

「うわっつ...！」

手に火傷を負い、顔をしかめる

『っ……帰れ！もうその顔を二度と見せるな！次は容赦しないぞ！』

赤い隈取が浮かび上がり、怒りに染まったAの顔がより一層厳しさを増す

人が見たら震えあがるの顔を前に郷は背を背けるしかなかった

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

静まりかえった部屋には後悔と懺悔が取り巻いていた

すまない、すまない

何故あんな事を言ってしまったのか

何故ムキになってしまったのか

何故傷つけてしまったのか

嗚呼、こんな事なら

こんな事になるのなら

最初から＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿