九匹目 ページ12
no side
かぁ、かぁ、と烏が鳴き始めたころ
男が一人、古ぼけた神社の前で佇んでいた
夕日に照らされた簪を見つめつつ
すると
『待たせた』
「うわっ」
『遅くなってすまないな』
「いいや、大丈夫だよ」
『それで？なんでまた会いたいって言ったんだ？』
「あ...いや、その...」
『ん？』
「べべべ、別にいいじゃないか！」
『なんなんだ？』
「それよりさ！そこで座って話そう！ね！」
『お、おう...』
一時間後＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「そろそろ帰るよ」
『そうか』
「今日は楽しかった」
『私もだ...おそらく、麓の旅館に泊まっているだろう？そこまで送ろう』
「いや、大丈夫だよ」
『いいや、ここらは獣も出るからな...危険だ』
「そ、そうなのかい？」
『あぁ、それに...もう少し話したいしな』
「...っっ！？」
『どうした？』
「ななな、なんでもないさ！」
『行くぞ』
ぽわり。
Aと郷の周りを青や赤の火の玉が取り囲む
「すごい...」
『これで襲われはしないだろう』
「あれ？Aの顔...どうしたんだい？」
Aの顔には赤い隈取が浮き出ており、顔に厳しさが出ているように見える
『あぁこれか？術を使うと出てくるんだ、これ』
「なんか...怖いね」
『そうか？がおーー』
「んっふ」
『怖いか？』
「怖い...というより...うん」
『ん？』
「けけけ結構暗くなって来たねー！早く行こう！」
『あぁ』
「それよりさ、燃え移ったりしないのかい？この火って」
『大丈夫だ、この火の玉は照明の術だから特に熱は持っていないぞ、試しに持ってみるといい』
そっと火の玉を手に取り、自身に近づける
「ホントだね...」
『だろう？ほら、もうすぐ着くぞ』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
こらそこ！早いとか言わない！
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作者名：ちくわぶ大明神 | 作成日時：2020年5月16日 0時
